こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。
近年、成人における歯科矯正治療への関心が高まっています。
特に、部分矯正は多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。
しかし、全体矯正との違いや適切な治療対象、部分矯正が適さないケースについては、十分に理解されていないことも多いです。
この記事では、大人のワイヤー部分矯正に焦点を当て、これらの疑問に答えていきます。
ワイヤー部分矯正とは
ワイヤー部分矯正とは、歯列の一部に限定したエリアだけを対象とした矯正治療法です。
患者さんの希望や必要に応じて、歯列の特定の部分のみを矯正する手法です。
例えば、前歯の見た目で気になるゆがみやすき間がある場合に、その部分だけにワイヤー装置をつけて改善を図ります。
また、かみ合わせを改善したい特定の歯だけに矯正力をかけることもできます。
全体の歯列矯正に比べると、ワイヤー部分矯正の大きなメリットは治療期間と費用の面です。
全体矯正が2-3年かかるのに対し、部分矯正は6ヶ月から1年ほどで効果が出ます。
経済的な負担が少ないのも魅力です。
特に成人の患者さんでは、歯並びの改善というよりも審美的な見た目の向上を望むことが多く、部分矯正はニーズに合致します。
加齢に伴う前歯のすき間や角度の変化など、部分的なゆがみを改善したい場合に適しています。
しかし欠点として、部分矯正では歯列全体のバランスを考慮できないことがあります。
全体の治療計画に基づかないため、かみ合わせを崩す可能性もある点には注意が必要です。
適切な診断と計画に基づき、患者さんの必要性に応じて部分矯正を活用することで、手軽に効率的な治療が可能となります。
全体矯正との違い
全体矯正は、上下の全ての歯に対して行われる治療です。
これに対し、部分矯正は特定の歯や歯列のセクションだけを対象とします。
部分矯正の場合、ワイヤーやブラケットなどの装置を取り付けるのは一部の歯に限定されます。
そのため、装置を取り付けていない歯は原則として矯正力がかからず、動かすことができません。
治療の対象となるのは、装置のついた歯のみとなります。
したがって、部分矯正では歯列の一部のエリアに治療範囲が限定されるのが特徴です。
全体矯正とは異なり、装置を装着していない歯はそのままの位置の状態が維持されることになります。
この点を理解した上で、部分矯正の適用範囲と限界について、治療方針を慎重に検討する必要があります。
全体矯正は時間と費用がかかりますが、より複雑な歯並びや咬み合わせの問題を解決することができます。
全体の歯列矯正に比べると、ワイヤー部分矯正の大きなメリットは治療期間と費用の面です。
全体矯正が2-3年かかるのに対し、部分矯正は6ヶ月から1年ほどで効果が出ます。
費用も全体矯正よりも経済的な負担が少ないのが魅力です。
特に成人の患者さんでは、歯並びの改善と審美的な見た目の向上を望むことが多く、部分矯正はニーズに合致します。
加齢に伴う前歯のすき間や角度の変化など、部分的なゆがみを改善したい場合にも適しています。
しかし欠点として、部分矯正では歯列全体のバランスを考慮できないことがあり、かみ合わせを崩す可能性もある点には注意が必要です。
部分矯正では、奥歯のかみ合わせに問題がない方がおすすめです。
適切な診断と計画に基づき、患者さんの必要性に応じて部分矯正を活用することで、手軽に効率的な治療が可能となります。
部分矯正の治療対象
特に、前歯のみの矯正や、特定の歯が原因で起きる咬み合わせの問題に有効です。
部分矯正は、歯並びの軽度から中程度の問題に対して有効な治療法です。
正中離開(すきっ歯)
正中離開(すきっ歯)とは、上の前歯の間にすきまがある状態を指します。
原因は主に遺伝的な要因ですが、上唇小帯という上唇と歯ぐきをつなぐ部分が発達しすぎていることが挙げられます。
また口呼吸、舌の癖などの生活習慣の影響もあります。
正中離開は審美性の低下が生じ、上唇小帯が発達している場合は歯みがきがしにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクがあります。
かみ合わせに問題がない場合は部分矯正が可能です。
軽度の叢生
歯の並びが一部分ずれていたり、重なりあっているような場合、その部分にのみ焦点を当てて矯正することができます。
このほか、特定の歯の位置や角度が原因で生じるかみ合わせの改善も可能です。
部分矯正ができないケース
部分矯正には適用範囲の限界があり、ある程度以上の重症ケースでは効果が期待できません。
例えば、歯並びが大きく崩れており、深刻なかみ合わせの異常も伴うような重度の場合は厳しいでしょう。
部分的な施術では根本的な解決が困難で、かえって症状を悪化させる可能性があります。
また、上下の歯列関係自体は良好でも、顎骨の形状や大きさに起因する咬み合わせの異常があるケースも注意が必要です。
例えば、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、開口(上下の前歯が噛んでおらず、すき間がある状態)が挙げられます。
上顎前突(出っ歯)
上顎前突の原因には大きく分けて2つのパターンがあります。
1つ目は、上下の顎骨自体の位置関係にずれが存在する骨格性の要因です。
上顎が下顎より前方に突出した骨格をしており、自然なかみ合わせが取りづらいことが問題となります。
2つ目は、上下の前歯の方向や角度が正しくない歯性の要因です。
正常なかみ合わせを阻害するような、前歯の生え方の異常が関係しているケースです。
さらに、幼少期からの口呼吸や舌の癖、長期の指しゃぶりなどの習慣も、上顎前突の原因となりえます。
下顎前突(受け口)
下顎前突の成り立ちには、大きく2つのパターンがあります。
1つは、上顎が小さく下顎が大きいなど、上下の顎骨自体のサイズバランスに起因する骨格的な要因です。
もう1つは、骨格そのものには問題がないものの、上の前歯が内向きに生え、下顎の前方突出を引き起こしている歯性の要因です。
下顎前突の原因にはこのほか、遺伝的な要素も大きく影響します。
開口(上下の前歯が噛んでおらず、すき間がある状態)
開咬の主な原因としては、大きく3つのパターンがあります。
1つ目は、上顎と下顎の骨の位置関係に異常が存在する骨格的要因です。
上下の顎骨の成長バランスが崩れることで、前歯のかみ合わせに隙間が生じます。
2つ目は、発音時や嚥下時の舌の使い方の癖が、歯並びに悪影響を与える場合です。
舌の動きが歯列の発育を阻害することで、開咬が形成されてしまいます。
3つ目は、幼少期からの長期的な指しゃぶり習慣による影響です。
口腔機能の発達阻害が開咬の要因となります。
このように開咬には多角的な要素が関係しています。
部分矯正では骨に影響を与えられないため、根本的な対策とはなりません。
全体のかみ合わせを大きく修正する必要があるような場合も、部分矯正のみでは困難です。
上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、開口(上下の前歯が噛んでおらず、すき間がある状態)の場合は、歯列全体の動きをコントロールし、調整する全体矯正が求められます。
重度の歯周病がある場合
重度の歯周病に進行している状態で部分矯正を行うことはおすすめできません。
歯を動かすことで歯槽骨が刺激され、症状をさらに悪化させるリスクが高いためです。
また、深い歯周ポケットがある場合、歯の移動により炎症が引き起こされる可能性もあります。
治療前に歯周病の治療とコントロールを優先し、症状が安定してから部分矯正の適用を検討する必要があります。
検査をおこない歯科医師が慎重に診断し、部分矯正の適用可否を判断するプロセスが欠かせません。
充分な説明をおこない、場合によっては全体の矯正治療をおすすめする場合もあります。
まとめ
成人のワイヤー部分矯正は、特定のニーズに合わせた効果的な選択肢です。
ご自身に適した治療方法を選ぶためにも、ぜひ当歯科医院へご相談いただき、最適な治療法をご提案させていただきます。