こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。
今日は、むし歯について、また予防方法についてお話ししたいと思います。
むし歯ってなに?
むし歯は実は虫が槍でつついているわけでも、ドリルのようなもので削っているわけでもありません。
それは子どもがわかりやすいようにするためのイメージです。
実際のむし歯とは、歯垢の中の細菌(主にミュータンス菌)がつくりだす酸によって、歯がとけていく病気です。
具体的にはその細菌は、砂糖の入ったあまいものを食べると、その糖分を栄養にして増殖し、その際に菌の周囲にネバネバのグルカンという糊のような物質が放出されます。
これによって歯に強力に付着して、そこでたくさんの細菌のかたまりが形成されます。
このかたまりが増え、歯の表面の白い汚れとなったものが、プラークというものです。
また、この細菌は乳酸も作りだし、それによってプラークの中が酸性になり、歯を覆っているエナメル質が溶けるという仕組みです。
この状態のことを脱灰といいます。この状態を初期むし歯といい、痛みを伴いません。
この脱灰状態がずっと続くと、穴があいてしまい、「むし歯」ができてしまうというわけです。
むし歯を進行させたくない
初期むし歯は修復できる可能性があります。
それは、再石灰化といい、唾液に含まれる、むし歯菌の酸の力を弱める作用や、リン・カルシウムなどの成分によって、溶けたエナメル質が自然に修復されるという可能性です。
正常であれば、再石灰化の作用によって歯の健康が保たれています。
簡単に説明しますと、歯の再石灰化には、
①むし歯菌から歯を守る
②初期のむし歯を修復する
などの効果が期待できます。
再石灰化は、食事と食事の間のタイミングで起こります。食事をとると、2~3分で脱灰が始まります。再石灰化は、食後40分〜60分ほどで行われます。
再石灰化を促進させる方法ってあるの?
歯の再石灰化を最大限に促進するために、セルフで実施できることとして、
①毎食後、歯磨きをする
②再石灰化を促す食べ物を摂る
③間食をしない
④口の中の唾液を増やす
などがあります。
①毎食後、歯磨きをする
むし歯のできやすい箇所は、プラークのつきやすいところ、また、とりのぞきにくいところです。
具体的には奥歯の溝などのへこんでいる箇所、歯の根元で歯肉に近い箇所、そして歯と歯の間です。
上記にもお伝えしましたが、歯の脱灰は食後2~3分に行われます。
また、歯に長時間食べ物が挟まった場合、時間がたてばとれにくくなります。
つまり、食べた後に歯を磨くことは重要です。
どうしても歯磨きができない場合、食後におお茶を飲む・口をゆすぐだけでも効果はありますのでぜひやってみてください。
②再石灰化を促す食べ物を摂る
再石灰化を促す栄養としてカルシウム、リン、ビタミンDを摂ることをお勧めします。
カルシウムやリンが口の中で不足すると、再石灰化がうまく進まず、むし歯のリスクを高める原因となります。
また、カルシウムの吸収をよくするタンパク質も一緒に摂ると効果的といえます。
ビタミンDは再石灰化の調整を行う役割を果たします。調整とはどういうことかといいますと、カルシウム濃度を調整し、歯を健康に保つ働きをしています。動物性の食品にたくさん含まれます。また、紫外線を浴びることによって肌からも生成される栄養素ですので、日光に当たることも重要です。
これらの栄養素が多く含まれる食材として
カルシウム・・・チーズ、牛乳、小魚、小松菜、大豆、納豆等
リン・・・いわし、しらす、卵等
ビタミンD・・・キノコ類、鮭、マグロ、ニシン、卵黄等
となります。ぜひ積極的に摂取したいですね。
※妊娠中・授乳中の方は多くとりすぎると危険な食材もありますのでお医者さんと相談の上摂取してください。
③間食をしない
間食は、お口の中が常にむし歯菌が酸を作るタイミングが増えるため、当然ですがむし歯になりやすいのでもし、間食をするなら時間を決めて食べましょう。
④口の中の唾液を増やす
だ液にはむし歯予防につながる様々な効果があります。
歯についた食べかすを洗い流し、口の中の乾燥を防ぐことで菌の繁殖を防ぎます。また、口の中の酸を中和させる効果もあり、まさに自然に簡単にできるむし歯予防ですね。
どうすればだ液の分泌が促進されるのでしょうか
①よく噛んで食べる。
②口周りの体操・マッサージをする
③キシリトール入りガムを噛む
④リラックスする時間を増やす
①よく噛んで食べる
よく噛むと刺激によって脳に伝達され、だ液の分泌が促進されます。
ゆっくりよく噛んで食事をしましょう。早食いの方は、口の中がおかゆのような状態を目安に噛むように意識しましょう。
②口周りの体操・マッサージをする
だ液の流れがスムーズになることで、だ液の分泌を促します。
いろいろな方が体操やマッサージ方法を紹介してくださっているのでぜひ、テレビを見たりしている時間で実施してみてください。
③キシリトール入りガムを噛む
よく噛むことでだ液の分泌が促進されることと同じ原理です。ここにキシリトール入りガムを噛むことで、食事以外の時間でもだ液を分泌することができます。
また、キシリトールにはだ液の中のカルシウム濃度を高めてくれる効果があります。ガムの種類はいろいろあり、中にはキシリトールの含有量が少ないものもありますが、だ液の分泌という面では意味はありそうです。
④リラックスする時間を増やす
リラックスすることで、副交感神経が刺激され、脳への伝達により、唾液が分泌されます。
胃腸の働きも良くなり、食事の消化にも良い影響があります。
逆に、緊張、不安、などストレスを抱えていると、交感神経が刺激されてしまい、口内がネバネバしたり、カラカラしたり、唾液が分泌が減ってしまいます。
発表会など人前で披露する時、口の中がカラカラになるのは緊張によりだ液の分泌が減ってしまっていたからです。
ストレスを溜めないことがまず第一ですが、そんな訳にもいきません。生活の中で緩急をつけて、リラックスできる時間を増やすことも重要です。
また、食事内容や、睡眠時間がバラバラなど不規則な生活により自律神経のバランスが崩れると、唾液の分泌に影響します。まずは規則正しいリズムで生活することが大切です。
以上の予防方法はセルフケアといい自身で実践する予防方法となります。
それとは別に、プロに実践してもらうプロフェッショナルケアがあります。
歯医者さんに見てもらいましょう
プロから受けるむし歯予防もむし歯から歯を守る為、重要です。
それは、歯科やデンタルクリニックで検査・治療を定期的に受診することです。
むし歯は進行が早いため、3〜6か月に1回を目安にして通うことを心がけましょう。
歯科やデンタルクリニックによって内容は違いますが、口の中の状態を改善してくれます。
例えば
口腔内検査
歯や歯ぐきの状態のチェックします。また、口の中の細菌数の計測などしてくれます。
歯みがき指導
一人ひとりの口の中の状態に合ったセルフケア方法の指導を受けることができます。
フッ素塗布
高濃度のフッ素を歯に塗布むして、むし歯予防をしてくれます。
スケーリング
スケーラーという器具を使って歯石を取り除いてくれます。
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
セルフケアの歯みがきでは落としきれない歯垢(プラーク)などを、専用の機械で取り除く歯の清掃をしてくれます。
セルフケア・プロフェッショナルケア、是非どちらも取り入れてむし歯を予防していきましょう。