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むし歯治療って何をするの?

2023年8月21日

こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

今回はむし歯について、またむし歯治療や予防法についてお話しします。

むし歯ってなに?

むし歯は、口の中にいる細菌が作り出した酸によって、歯が溶けた状態をいいます。

口の中にはさまざまな種類の細菌が住んでいて、むし歯や歯周病の病原菌も含まれていて、特にむし歯の病原菌のミュータンス菌が有名です。

ミュータンス菌は私たちが食べたり飲んだりする糖分を栄養にして増殖し、菌の周囲にネバネバしたグルカンというノリのような物質を出します。

ネバネバした物質が歯に強力に付着して、細菌の集合体が作られ、歯の表面に白い汚れとなったものがプラークです。

また、ミュータンス菌は同時に乳酸も作り出し、プラークの中は酸性になり、接触している歯の表面のエナメル質は酸によって溶けてしまいます。

この状態を脱灰、初期むし歯(CO)といい、歯の表面が不透明な白い色になり、痛みを感じることはありません。

歯に穴があく一歩手前の状態であれば、削って治療をしなくてもよいです。

脱灰している歯が、口の中の唾液で、細菌の作り出した酸を中和して洗い流したり、溶けだしたカルシウムやリンを歯の表面に戻す働きを、「再石灰化」といいます。

毎日のはみがきで使用する歯磨き剤の中に、フッ素が含まれていて、再石灰化を促進します。

また歯科医院では、からだに安心な濃度のフッ素化合物を使用して、歯面塗布法やイオン導入法をおこない歯質強化や再石灰化の促進が可能です。

また正しいブラッシングで、プラークを取り除きましょう。

歯が溶け続けると、穴が開いてしまい、治療が必要になります。

むし歯になりやすい人

人によってお口の中にいる細菌の種類は異なりますが、ほとんどの人のお口の中にはむし歯菌がいます。

むし歯菌の多い人、むし歯菌が活発に活動しやすくなる人はむし歯になりやすいです。

つまり、歯みがきと食生活が大きく影響します。

むし歯菌ができやすい人は、
・プラークを上手に除去できない人
・プラークのなかの細菌の栄養である糖分を頻繁に摂取する人
・唾液の量が少ない人

プラークがついたままだと、細菌は増え続け、酸によって歯が溶ける時間が長くなります。

また、頻繁に間食やおやつを摂る人は、プラーク中の細菌の活動が盛んになり、酸も多く作られるのです。

唾液は、口の中の細菌を洗い流したり、酸を洗い流したり薄めるのにとても重要な役割を果たしています。

初期むし歯では、再石灰化を促進する働きが唾液にあり、唾液の量もむし歯の進行と関わりがあります。

年齢別!むし歯のできやすい場所

子どもの歯(乳歯)は大人の歯に比べ、むし歯になりやすく、むし歯に対しての抵抗性が低いので進行が速くなります。

歯全体で神経の占める割合が子どもの歯は高いため、穴が見つかった場合はかなり進行していることが多いです。

子どもの歯のむし歯を放置すると、大人の歯(永久歯)の歯並びに影響を及ぼします。

小さいうちから歯科医院に慣れ、予防のための来院がおすすめです。

年齢によってむし歯になりやすい場所は異なりますので、以下に年齢ごとにむし歯になりやすい場所を紹介します。

1~2歳:上の前歯

上の前歯の間や裏側に食べ物がつまりやすいです。

歯みがきのときに、気を付けて見てください。

また、飲み物の種類に注意が必要で、甘い飲料、乳酸飲料、野菜ジュース、スポーツドリンクは糖類がたくさん含まれています。

一度甘い飲み物をおいしいと覚えてしまうと、欲しがりますので、お水やお茶がよいでしょう。

2~3歳:奥歯の咬む面

食べ物を奥歯で咬んで食べる時期になり、食べ物の残りがたまりやすくなります。

特に、上の奥歯は見えにくいので注意が必要です。

4~5歳:奥歯の間

咬む面からは見えづらく、歯と歯の間に細菌があるとむし歯の進行が速いです。

第一大臼歯(大人の歯)が生える準備をするため、子どもの歯が押され歯と歯の間に物が詰まりやすくなります。

普段からフロスを使用して予防しましょう。

6~9歳: 第一大臼歯(大人の歯)

生えたての大人の歯はむし歯になりやすいです。

生えてきたばかりの時は手前にある子どもの歯と高さの差があり、歯ブラシが届きにくく磨き残しが多くなります。

小学低・中学年までは磨く技術が未熟なので、仕上げ磨きを継続してください。

永久歯の生え変わりの時期なので、注意が必要です。

9~12歳:子どもの歯の奥歯と第一大臼歯の歯の間

第二大臼歯が出てくる準備のため第一大臼歯が押され、隙間が詰まり汚れがたまりやすくなります。

小学校高学年まで仕上げ磨きが理想ですが、精神発達上、反抗期となるため仕上げ磨きは困難なことが多いです。

おうちの方から声掛けをしていただき、食生活に気を付け、歯科医院で定期的にお口の中のチェックをしてもらいましょう。

中高生:歯と歯の間、奥歯のかみ合わせの面、歯と歯ぐきの境目

食生活が乱れがちなので、おうちの方からも食後の歯みがきと飲み物の種類に注意をしていただき、定期的に歯科医院でお口の中のチェックをしましょう。

成人や高齢者

・むし歯治療した詰め物の材料と歯の境目
・歯の根元

プラークがつきやすく、磨きにくいところです。

多くの場合、むし歯がかなり進行しないと痛みなどの症状がでません。

定期的に歯科医院で、お口の中をチェックしてもらい、早期発見を心がけましょう。

むし歯の治療法

むし歯の進行状態とその治療法を紹介します。

エナメル質のむし歯(C1)

歯の表面(エナメル質)の限られた狭い範囲に穴があいた状態。

症状:しみたり痛みは感じない。

治療法:むし歯になっている部分を削り取り、レジン(歯科用プラスチック)を埋めて治療する。

象牙質まで進んだむし歯(C2)

歯の内部に広がり、象牙質まで進んだ状態。

症状:冷たい飲食物で痛みを感じる。

治療法:むし歯になっている部分を削り取り、詰め物(インレー)で補う。

神経まで進んだむし歯(C3)

神経(歯髄)まで進んだ状態。
むし歯の表面の穴は必ずしも大きくなく、内部で広がっている場合がある。

症状:激しい痛みがある。

治療法:神経を除去し、神経が入っていた管(根管)の内部を消毒して薬剤を詰める根管治療をおこない、     かぶせ物(クラウン)を被せます。

歯根だけ残ったむし歯(C4)

歯の部分がほとんど崩壊し、歯の根だけが残った状態。

症状:神経(歯髄)が死んでしまい、痛みを感じなくなる。
神経が露出して、細菌に感染すると、根の先に膿がたまったり、痛みが出ることもある。

治療法:多くの場合、抜歯が必要です。抜歯後、入れ歯やブリッジ、またはインプラントなどで失った歯の    機能の回復を改善する。

むし歯菌が神経まで達してしまうと抜歯になるケースもありますが、根管治療により歯を残せる可能性が高くなります。

根管治療では、根管内から確実にむし歯菌をいかにして取り除くかがポイントです。

しかし、根管は細くて複雑な構造をしているので、確実に治して再発を防ぐには一度では治療が終わりません。

数回にわたって通院が必要ですが、しっかりと治しましょう。

歯の根元のむし歯

日頃、「食べ物が歯にはさまる」、「歯の根元がしみる」、などと感じることはありませんか?

上記のように感じた場合、鏡を見ていただくと歯ぐきが下がっているかもしれません。

年齢とともに歯ぐきが下がると、今まで歯ぐきで守られていた根元の象牙質が露出して無防備になります。

露出した根元の部分にむし歯菌や酸にさらされ、できるむし歯を「根面う蝕」といいます。

歯の根元の部分は、硬いエナメル質の部分と違い、酸に弱く溶けやすい象牙質です。

歯が溶け始める臨界㏗が、エナメル質が5.5程度であるのに対し、象牙質の臨界㏗は6.0~6.2と中性にかなり近い状態で溶け始めてしまいます。

歯の根元にむし歯ができるので、気づきにくく、進行も早く歯を失うリスクが高いです。

歯の根元のむし歯は40歳代以降、年齢とともにリスクが高くなるので、日頃のケアと定期検診を受けましょう。

また、歯の根元の象牙質は、表面に無数の穴があいていて、直接刺激が伝わって「知覚過敏」をおこしやすくなります。

知覚過敏を防ぐには、知覚過敏用の歯みがき剤の使用や歯科医院でしみ止めの薬を塗布してもらうとよいでしょう。

しっかり磨こうとゴシゴシやり過ぎてしまうと、歯ぐきが下がる原因になります。

日頃から、歯ぐきが下がらないように適切なブラッシング圧が大切です。

一般的に、適切なブラッシング圧は100〜200gといわれています。

目安として、
・歯ブラシの毛先を歯に当てたときに毛先が広がらない
・シャカシャカと磨く音がする
・毛先が歯と歯のあいだに入る

心配な方は、歯ブラシの持ち方や磨き方について、ぜひ当院でお問合せ下さい。

むし歯の予防法

食生活を正しくして、子どもも大人もむし歯になりやすい場所を注意して磨きましょう。

フッ素にはむし歯の発生と進行を抑える働きが3つあります。

1.歯の質を強化

歯のエナメル質を酸に溶けにくい性質に変え、むし歯への抵抗力を高めます。

2.歯のエナメル質の修復を促進

酸によって歯から溶けだしたカルシウムやリンを補うことを促進します。(再石灰化)

3.菌の働きを弱める

むし歯を引き起こす細菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑えます。

上記のフッ素の働きを利用して、歯科医院ではフッ素塗布法やイオン導入法をおこなっています。

必要に応じて、かみ合わせの溝が深いところにレジンというプラスチックで物理的に封鎖し、むし歯を予防します。

また、多くの歯みがき剤にもフッ素が含まれています。

歯みがきの後に、何度もすすぐとフッ素が流れてしまうので、1回程度にしましょう。

むし歯予防に効果があるフッ素を口の中に長くとどめておくのが大切です。

唾液には、口の中の汚れを洗い流す働きがあるので、かみごたえのあるものをよくかんで、唾液がよく出るようにしてください。

また、砂糖ではなくキシリトール入りのガムをかむことでも唾液の出る量が増えます。

だらだら食べ続けると、お口の中でむし歯菌が酸を作り続けてしまうので、時間を決めて規則正しくし、楽しみましょう。

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