こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。
今回は、歯周病治療はどのように行うのか、歯周病は放置しておくとどうなるのか、そんな歯周病についてお話したいと思います。
歯周病とは
歯周病とは、歯を支える歯の周囲の組織(歯周組織)に発生する慢性疾患の総称です。
歯周組織は、歯肉、セメント質、歯根膜および歯槽骨より構成されています。
歯を失う原因の多くは歯周病であり、歯周病は歯周病菌が原因とされており「世界で最も蔓延している感染症」とも言われています。
歯周病菌は、歯周病の原因となる細菌全体を指す言葉ですが、レッドコンプレックス(RED COMPLEX)と呼ばれる3菌種(P.g.菌、T.d.菌、T.f.菌)が歯周病に最も影響を及ぼしているといわれており、歯の表面に付着している白色または黄白色の汚れ歯垢(プラーク)や、舌の表面に付着する白っぽい汚れ舌苔(ぜったい)に多く潜んでいます。
歯周病のかかりやすさや進行度合いは人により異なっており、個人差があります。
歯周病の種類
歯周病のうち、炎症が歯周組織のうちの歯肉にだけに起こるものを「歯肉炎」、歯肉だけでなく他の歯周組織に及び組織破壊が生じているものを「歯周炎」といい、これら二つが歯周病の二大疾患となっています。
「歯肉炎」は、歯垢、栄養障害、アレルギー、ウイルス感染、歯磨剤への反応、外傷などさまざまな要因で生じ、「歯周炎」は歯肉炎が進行すると発症します。
歯周病の症状
歯周病は、「初期段階」「中度」「重度」など、症状により段階に分かれます。
ここで少しご説明させていただきます。
初期段階(歯肉炎)
・痛みはないが歯茎が腫れている
・歯茎が赤くなる(健康な歯茎はピンク色)
・歯磨きの時に血が出る
中度(軽度歯周炎)
・歯茎がさらに腫れて歯と歯茎の隙間が深くなる
歯と歯茎の隙間を歯周ポケットといいますが、その深さは、健康な人だと3ミリ以内、中度の歯周病だと3〜5ミリです。
・歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が始まる(溶け始める)
歯周ポケットが深くなるということは、歯槽骨の吸収が始まっているからです。
・歯茎の赤みが増してくる
重度(中等度歯周炎)
「重度(中等度歯周炎)」の症状には次のようなものがあります。
・歯周ポケットは4〜7ミリの深さになる
歯根の1/3〜半分くらいまで歯槽骨の吸収が進むため歯の動揺が大きくなります。
・歯のグラつきが大きくなる
・口臭が強くなってくる
歯周病の原因となる細菌が、口の中で繁殖してニオイを発します。
・朝起きたときに口の中がネバつく
眠っている間は、唾液の分泌が少なくなるので、口の中で細菌が繁殖し、ネバつきの原因となる分泌物を生成します。
・歯が長くなったように感じる
歯槽骨が吸収された分歯肉も下がってしまうので、歯が長くなったように感じたりします。
・知覚過敏の症状が出る
歯槽骨が吸収されることにより、歯茎が下がってしまうので、エナメル質に覆われていない歯根部分が露出してしまい、知覚過敏の症状が出ます。
さらに進行し「歯周病末期」の症状には次のようなものがあります。
・歯周ポケットは6ミリ以上となり、ひどくなると1センチもの深さになる。
・歯茎からネバネバとした膿が出るようになる。
・歯槽骨の吸収は、歯根の半分を超えるため、歯がグラグラになり、抜け落ちてしまう場合もある。
歯周病治療について
歯周病治療は、歯周基本治療と歯周外科治療に分類することができます。
歯周基本治療
歯周基本治療は、歯に付着した細菌の塊である歯垢などを取り除く治療です。
歯周基本治療には、患者さん自身がおこなう「セルフ・ケア」と、歯科医院でおこなう「プロフェッショナル・ケア」があります。
セルフ・ケアは、患者さん自身がブラッシングにより歯垢を除去します。
プロフェッショナル・ケアは、患者さん自身では取り除けない歯垢を、歯科医院でスケーリングを行い除去します。
歯周病外科治療
歯周外科治療は、歯周病の進行により深くなった歯周ポケットの深さを手術により減少させるなど外科的方法による治療です。
外科治療にはこのほかにも、特殊な材料を用いて部分的に失われた歯槽骨を再生させる手術を行う場合などもあります。
初期歯周病の治療法
初期歯周病の段階での治療法は、歯垢や歯垢が固まった歯石を除去する歯周基本治療となります。
ほとんどの場合、歯の表面に付着する歯肉縁上歯石の除去となりますので、麻酔は必要なく、超音波スケーラーや手用スケーラーという器具を歯石にあてて取り除く方法が一般的です。
中度歯周病の治療法
中度歯周病の段階での治療法は、歯周基本治療を主として行います。
歯周基本治療で改善しなかった場合は、歯周外科治療にて歯肉縁下の歯石を綺麗に取り除き、必要に応じて歯周組織再生療法を行います。
軽度歯周病と比較すると治療に対する時間や回数が必要になり、治療は難しくなります。
重度歯周病の治療法
重度歯周病の段階での治療法は、 まずは、歯周基本治療で歯周病の原因を除去し、口腔内の環境を改善します。
歯ぐきの深い部分(歯肉縁下)の歯石を除去する際には、歯周外科治療を行います。
残念ながら保存できない歯がある場合は抜歯を行い、歯の動揺が強い場合は、歯を固定し安定させる歯周補綴治療を行います。
歯周病予防について
歯周病の主な予防方法について記述します。
毎食後の歯磨き
歯周病の予防には、毎食後の歯磨きが大切です。
歯周病菌は歯と歯茎のあいだから入り込むため、歯ブラシをそこにしっかりとあて、弱い力で細かく往復させながら、歯列の奥から手前にむかって丁寧に磨きます。
食後に歯を磨く時間がないときは、洗口液で口をゆすぐといった対策も取り入れるとよいです。
定期的な歯科検診
食後の歯磨きをしっかりとしていても、歯と歯のあいだや歯周ポケットなどには磨き残しの歯垢が残ってしまうことがあります。
そのため定期的に歯科検診へ通い、歯垢や歯石を専用の機械で除去すると、歯周病リスクを抑えることができます。
生活習慣を見直す
近年、生活習慣が歯周病を引き起こしたり、悪化させたりするリスクファクターであることがわかってきました。
喫煙は、歯周組織の酸素欠乏を引き起こし、歯周組織の抵抗力を低下させ歯周病を重症化させます。
精神的ストレスは、体の抵抗力を低下させ、生活習慣も変えるので歯周病が進行しやすい状態になります。
甘いもの、やわらかいものを多く食べる習慣は、口腔内の細菌を増殖させやすくします。
このように、歯周病は生活習慣病といえますので、喫煙を控え、十分に睡眠をとり、ストレスがたまらないように注意し、甘いものは控えるなど、歯周病を予防するには生活環境を見直してみることも大切です。
まとめ
歯周病の治療および予防は、口腔内の環境をよくすること、生活習慣に気をつけること、定期健診をうけて早めに対処すること、が大切です。
もし、歯や口腔内のことで気になることがあれば、一度当院にご相談ください。