Author Archives: はやし歯科クリニックスタッフ

入れ歯について  メリットとデメリット

2023年9月25日

こんにちは。

大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

今回は入れ歯についてお話しします。

 

失った歯をそのままにして大丈夫?

 

むし歯や歯周病、あるいは外傷などにより歯を失った場合、特に気にならないからそのままでいいと放置してしまう方がいます。

歯は、空いたスペースに移動する、という性質を持っているので、失った歯をそのままにしているのは危険です。

例えば、下の奥歯が抜けたままになっていると、かみ合う上の奥歯は少しずつ下に向かって移動しはじめます。

また、左右の歯も空いたスペースに向かって倒れてきて、1本歯を失うだけでも、お口の中全体のバランスが崩れてしまい大変です。

お口の中全体のバランスが崩れ、時間が経過するほど以下のような影響が出てきます。

咬みにくい

話しにくい

老け顔に見える

他の歯の寿命が短くなる

治療費が余計にかかる

歯を失った際には、しっかりと治療をおこないましょう。

 

部分入れ歯と総入れ歯

歯を失った場合の治療方法は大きく3つあります。

インプラント、入れ歯、ブリッジです。

それぞれメリット、デメリットがあり、症状や歯の状態によってはおこなえない治療もありますので、CT撮影をし、骨の状態などを確認して判断する必要があります。

失った歯を人工の歯で補う方法の一つが「入れ歯」です。

「義歯」や「デンチャー」と呼ばれることもあります。

入れ歯であれば多くの場合、治療可能です。

外科的な処置を必要としないため、全身的な要因でインプラント治療を行うことができない方でも、入れ歯を装着し噛むことができます。

入れ歯は大きく、部分入れ歯(部分義歯)と総入れ歯(総義歯)に分けられます。

 

部分入れ歯

 

部分入れ歯(部分義歯)は、歯を失った部分に装着する入れ歯です。

取り外し式でお口の中に残っている歯に支えを求めるようにして維持される入れ歯のことです。

多くは、残っている歯にバネを引っ掛けるような設計にし、外れにくく、噛みやすくします。

入れ歯を固定するためのバネは金属であることが多いため、場所により見た目に触れる場合もあります。

また、部分入れ歯は、お口の中に残っている歯に支えを求めるため、その分その歯が負担する力は大きくなります。

より長持ちするような力のコントロール、設計をし、また負担に耐えられるよう、歯ぐき、骨の状態の維持が必要です。

人工歯なので初めのうちは多少違和感を覚えるかもしれませんが、調整をしていくので心配ありません。

基本的に部分入れ歯に適応の制限はなく、歯を失った位置や本数によってブリッジで治療できなかったとしても、入れ歯であれば治療可能です。

インプラントやブリッジは基本的に取り外すことができませんが、入れ歯は外すことができます。

手に取って清掃できるという点で、部分入れ歯はインプラントやブリッジより優れる面もあります。

 

総入れ歯

 

総入れ歯(総義歯)とは、お口の中の全ての歯の機能を入れ歯により補うものです。

歯を全て失った方や、根だけの状態で歯の頭の部分は残っていない方が適応になります。

バネをかけて固定する部分入れ歯と異なり、総入れ歯は引っ掛かる部分がありません。

基本的には上の顎や下の顎に吸盤のようにくっつくことで維持されるのが総入れ歯の仕組みです。

顎の骨の状態にも個人差があり、骨が少ない方などなかなか義歯の吸着を得られにくいケースもあります。

そのため、お口の中の状態を十分に分析し、吸着を得られるような設計が必要です。

またスムーズな噛み合わせに設定することで、より長期にわたって機能する義歯にできます。

総入れ歯がしっかりと機能することで、審美的な回復はもちろん、咀嚼をスムーズにおこなうことにつながり、全身の健康にも関係しています。

総入れ歯には基本的に適応の制限はなく、全身的な要因などでインプラント治療を行うことができなかった方も、入れ歯を使用することで噛み合わせを得られます。

また、基本的に外科的な処置を必要としないため、患者さんの身体への負担が少ないのも特徴です。

また、保険診療でも総入れ歯を作ることができるので、インプラント治療などの自費診療に比べ治療費を抑えることができます。

他にも、インプラント治療では治療期間が年単位でかかることもあるのに対し、総入れ歯は短期間で治療を終えることが可能です。

お口の中を清潔に保つためには、部分入れ歯同様、メンテナンスが必要になります。

 

即時義歯について

失った歯の機能を補うために入れ歯を作製する必要がありますが、抜歯窩(抜歯してできた粘膜の傷)が治るには、2ヶ月から3ヶ月かかります。

入れ歯の作製には最短でも2週間から1ヶ月の時間を要するために、その間は歯がない状態です。

奥歯の場合には、口元を見て歯が無いことは分かりにくいですが、前歯の場合には審美性に劣り、場合によっては生活や仕事に支障があります。

そのような場合には、抜歯後、即日に入れ歯を装着することが可能です。

即時義歯と呼ばれる方法で、抜歯した歯の機能を即時に回復するため、抜歯する前に歯型を取り、抜歯日に合わせて入れ歯を作製します。

ただし、抜歯窩が治ってくるとともに入れ歯が合わなくなってしまう可能性があり、新しく入れ歯を作製する場合があるので、歯科医師とよく相談しましょう。

 

入れ歯治療の流れ

 

1.カウンセリング

入れ歯に関すること、また入れ歯以外の治療法との比較など含め説明させていただき、治療方針を決定します。

2.型取り

現在の状態の型取りをおこないます。

3.かみ合わせの決定

入れ歯のかみ合わせの高さと位置を決定します。

4.試適

入れ歯の完成前にかみ合わせなどの修正点がないかを確認します。

5.完成

不具合がないかを確認します。

6.治癒終了

かみ合わせやお口の中の状態などチェックし、メンテナンスへ移行します。

7.メンテナンス

定期的にお口の中の状態をチェックし、入れ歯に不具合などがあれば調整します。

 

入れ歯のメリット・デメリットについて

メリット

治療期間が比較的短い

広範囲の欠損にも対応できる

修理や調整がしやすい

保険内で作製でき、費用を抑えられる

デメリット

食べ物が詰まりやすい

硬いものが食べにくい

バネ(クラスプ)が目立つ

手入れが必要(匂い、口臭の原因になる)

熱を感じにくいので味わいに影響がある

プラスチック製なので破損することもある

インプラントやブリッジとは違い、取り外しが可能なので、その分食べ物が詰まりやすくなります。

毎日お手入れをし、清潔にしましょう。

お口の中はとても敏感なので、定期的にバネ(クラスプ)やかみ合わせの調整が必要です。

毎日使うものなので、すり減って粘膜に当たって痛くなったり、部分入れ歯のバネ(クラスプ)がゆるくなったりします。

困ったことがあれば、当院にお気軽にご相談ください。

入れ歯のお手入れ方法と注意点

 

入れ歯はインプラントやブリッジと違い、取り外しをしてお手入れが必要となります。

入れ歯の清掃は外してから落とさないようにし、入れ歯専用ブラシ、もしくは歯ブラシで優しく水洗いしてください。

研磨剤の入っている歯みがき剤でゴシゴシ洗うと、プラスチックの部分が削れて汚れがたまりやすくなります。

入れ歯洗浄剤を利用することで、より清潔に使用することができます。

入れ歯は高熱により変形することがあるので、絶対に熱湯(60℃以上)に浸したり、かけたりしないでください。

外しておく場合は、熱や乾燥による変形を防ぐためにコップなどの容器に水を入れ、その中で保存しましょう。

外した入れ歯をティッシュにくるんでしまうと、間違えて捨ててしまうこともあるので、専用の容器やコップに入れるのが望ましいです。

入れ歯を外した後は、口の中や舌をきれいにしてください。

基本的に夜は、歯や粘膜を休ませるために入れ歯を外して寝ましょう。

 

さいごに

 

毎日の食事はおいしく、快適に味わいたいものです。

入れ歯(義歯)は単にものを食べるだけの道具ではありません。

自然な口元をつくり、お話しするにも入れ歯(義歯)は大切です。

また、お手入れだけでなく、しっかりと定期検診を受けましょう 。

気になることがある方は、お気軽に当院までご相談下さい。

子どもが虫歯になってしまった!子どもの虫歯治療について詳しくご紹介します

2023年9月18日

こんにちは。

大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

今回は、子どもの虫歯治療について、お話しします。

お子さんが虫歯になってしまったときのために、ぜひ知っておきましょう。

虫歯にはどんな種類がある?虫歯のパターン分けについて

「虫歯」と一口に言っても、進行度合いによって治療方法が変わります。

まずは、虫歯のパターンについて知っておきましょう。

虫歯の進行具合によって、「C0〜C4」の5つに分けて診断されます。

ご自身の歯科検診でも、歯科衛生士や歯科医師が診断するのを聞いたことがあるかもしれません。

では、数字ごとの虫歯の状況について、詳しく見ていきましょう。

「C0」は、虫歯の初期段階

「C0」は、虫歯の初期段階です。

虫歯になりかけている段階を指します。

「C1」は、軽度の段階

「C1」は、軽度の虫歯です。

歯の表面のエナメル質に虫歯ができています。

「C2」は、虫歯が象牙質まで到達している段階

「C2」はC1の表面の虫歯から、さらに進行した段階になります。

歯は、表面がエナメル質でできています。

その奥の、内部の一番上の表層が、「象牙質」となります。

「C2」は、この象牙質が虫歯になった状態です。

「C3」は、虫歯が神経まで到達している段階

象牙質まで進行した虫歯を、そのまま放置してしまうと、虫歯は歯の神経の部分まで進んでいきます。

「C3」は虫歯が神経まで到達している状態です。

「C4」は、虫歯によって歯のほとんどが崩壊してしまった段階

虫歯を長い期間、治療せず放置すると、歯のほとんどが崩壊して歯の根っこだけが残っている状態になります(残根状態)。

C3は痛みが強く、C4まで達すると、食事の際や夜も眠れないほど痛いなど、自覚症状が出てきます。

 

子どもの虫歯の治療方法とは?進行状況ごとに解説

 

ここまで、虫歯の進行状況を解説してきました。

では、虫歯の進行によって、お子様に対してどのような治療が行われるのか、子どもの虫歯の一般的な治療方法について、見ていきましょう。

C0の治療方法

虫歯になりかけている、初期段階のC0の治療方法は、歯を削るなど直接の治療はおこないません。

虫歯が悪化しないように、ブラッシング指導や歯の表面へのフッ素塗布などで様子を見ます。

C1の治療方法

C1の治療方法は、歯の表面であるエナメル質にできた軽度な虫歯の箇所を削ります。

削った部分については、レジンで埋めるため、見た目を損なうことなく治療することができます。

C2の治療方法

C2の治療方法は、基本的にはC1と同様となります。

虫歯となっている象牙質の部分を削り、レジンで埋めます。

場合によっては、詰め物をしっかりとする治療のケースもあります。

C2にまで達した虫歯は、冷たいものなどの刺激で痛みを感じやすい状態ですので、早急に歯科での治療をしてあげましょう。

C3の治療方法

すでに神経にまで達してしまったC3の治療方法は、神経を取り除く治療になります。

歯の深部にある神経まで虫歯が達しているため、歯を削る治療では、治すことができないことがほとんどです。

ですが、子どもの神経の場合、再生能力が強いため、神経の一部を残す「生活歯髄切断法」という治療法を行うケースもあります。

しかし、生活歯髄切断法は適応が限られます。

そのため、すべてのケースで実施できるわけではありません。

C4の治療方法

C4の治療方法は、基本的に抜歯での処置となります。

歯が根元部分しか残っていない虫歯ですので、治療での改善は見込めないため、残っている部分を抜く治療になります。

ただし、虫歯となった歯が乳歯の場合は、成長とともに生えてくる永久歯を考慮して、補強を行うこともあります。

大切な歯を守るためにも、定期的な歯科検診で、初期段階の虫歯で処置できるようにしておきましょう。

 

子どもの虫歯治療の流れについて

ここまで、具体的な虫歯の治療方法について、進行状況ごとに見てきました。

虫歯の進行状況、また、将来の歯の成長に合わせた治療が大切となってきます。

では、実際の子どもの虫歯治療は、どのような流れで行うのでしょうか。

基本的な流れを見ていきましょう。

虫歯の進行状況や治療によって異なる場合もありますが、よくある軽度の虫歯で解説します。

カウンセリング・診察

はじめに、カウンセリングと歯の診察からはじまります。

歯の痛みや冷たいものがしみるなど、自覚症状についてカウンセリングをおこないます。

また、全ての歯を、歯科医師が目視でチェックします。

必要に応じてレントゲン撮影を行います。

自覚症状のない初期状態の虫歯も含めて、治療が必要な歯をくまなく診察します。

虫歯の除去

診察で軽度の虫歯が見つかった場合、先ほど見てきた通り、対象の箇所だけを削る治療を行います。

虫歯部分だけを削るため、それほど歯の形状が大きく変わってしまうことは起きません。

詰め物をする

虫歯部分を削った歯をそのままにしてしまうと噛み合わせに影響が出てしまう恐れがあります。

治療を行った歯に対して、詰め物を詰める治療を行います。

詰め物は、レジンや銀など素材の種類があります。

処置後、目立たないものはレジンですが、歯と歯の間に大きな穴があいているなど、治療範囲が大きい場合にレジンを使ってしまうと、咬む力に耐えられず、歯からはがれてしまう場合があります。

そのため、耐久性に優れている銀の素材を選択される場合もあります。

見た目や耐久性などそれぞれの特徴を考慮し、治療範囲や将来の成長に合わせて、歯科医師と相談しながら決めましょう。

詰め物を詰めたあとは、最後に噛み合わせを確認し、問題がなければ治療完了となります。

 

お子さんが治療を怖がってしまう…。暴れて治療できない場合の治療について

みなさんの子どもの頃を思い出していただくと、「歯医者さんが怖かった」という方もいらっしゃるかもしれません。

歯医者さんが怖い、とくにお子さんがまだ小さく、どうしても歯科治療を嫌がってしまう場合、歯を削るといった治療は難しいかもしれません。

治療のためといって、嫌がるお子さんを無理やり押さえつけて治療してしまうと、歯科恐怖症(Dental phobia)など、将来の歯科衛生にまで影響する可能性が出てきてしまいます。

その場合は、無理な治療は行わず、虫歯の進行を止める薬をまず塗り、その後の経過を観察する場合もあります。

まずは、お子さんに歯科医院に慣れていただき、恐怖感を極力軽くする、取り除いた上で、再度治療を行います。

また、治療を上手に受けられなかったときも、保護者の方はしっかり褒めてあげましょう。

お子さんにとって、お母さん・お父さんから褒められることは何よりもうれしいものです。

保護者の方と歯科医師が信頼関係を持って、お子さんのむし歯治療を受けることができ、歯の健康を保てることが重要です。

 

まとめ

ここまで、虫歯のパターンと治療法、お子さんが歯科治療を怖がってしまった際の対応について解説してきました。

子どもの虫歯は、虫歯の進行状況によって治療方法が変わります。

まずは虫歯があるか、あった場合、進行状況を診察した上で、どのような治療が適切か、お子さんの状況や成長にあわせた治療について歯医者さんと相談しながら、決めましょう。

「はやし歯科クリニック」では、お子さんの歯を守り、健やかに成長できるよう、歯科治療に力を入れています。

虫歯ができてしまった場合、安心して治療を受けていただき、その後の将来を見据えた処置をおこなう、お子さんの目線に立った対応をいたします。

お子さんの虫歯や治療は、当院までお気軽にご相談ください。

予防歯科はどんなことをするの?

2023年9月11日

こんにちは。

大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

皆さん予防歯科という言葉をよく耳にするかと思います。

今回は、予防歯科とは何か、目的と具体的な治療についてお話ししたいと思います。

予防歯科とは?

「歯科」という言葉がついているので、診療科があるのかと思われがちですが、実はそのような診療科はありません。

歯科医院にある診療科は全部で4種類で、「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」です。

予防歯科とは、虫歯や歯周病などの口の中の病気を予防するといった考え方のことを言います。

一般的に「予防歯科を始めましょう」という呼びかけに使われており、むし歯や歯周病を予防できるよう意識しましょうという意味が込められています。

予防歯科の目的

「8020(ハチ・マル・二イ・マル)運動」という言葉を聞いたことはありますか?

これは厚生労働省や日本歯科医師会が推奨している運動があります。

これは、80歳になっても自分の歯を20本以上残そうとする運動のことです。

以前は、「一生自分の歯で食べよう」という標語が使われていました。

「8020」は、こちらをわかりやすく数値目標化したものと言われています。

(永久歯の数は28本ですが、20本あれば固い食品を噛むことができることが科学的に明らかになっているそうです。)

歯は一生のもの。

一度削ってしまった歯は、元には戻りません。

つまり、予防歯科の目的は、将来の為に今からでも1本でも多く歯を残すことです。

歯が痛くなってから歯医者に行く。

詰め物がとれたなどの口の中の問題が起きてから歯医者に通う。

のではなく、

むし歯や歯周病になる前に歯医者に行く。

早期発見するために歯医者に行く。

という考え方(プロフェッショナルケア)とともに、

普段の歯磨きやフロスなど、家でできる予防(セルフケア)のセットで考えていくことが大切です。

予防歯科のメリット

・健康な歯を長期にわたって維持することができる

・むし歯、歯周病を早期発見、治療できる

・認知症のリスクが低減する

・健康寿命が伸びる可能性が増える

・結果的に医療費の負担が軽くなる

・全身の疾患を予防できる

・歯が美しく保つ

定期健診を受けることで、短期的には費用とお金を要します。

そもそも仕事などを理由に予約をとることも後回しにしがちです。

ただ、むし歯や歯周病を放置してしまい、結果的には長期にわたって通院することになり、費用と時間を要することとなります。

口の中が健康になれば、歯医者に通う回数、時間も減ります。

もしお心当たりのある方、少し勇気はいると思いますが、是非当院へご連絡ください。

歯科検診のペースでいくもの?

結論から言うと3~6カ月に一度受けることが望ましいです。

ただ、通うたびにむし歯や歯周病などの問題がなく終わってしまうと、歯科検診へのモチベーションを保つのが難しくなり、そのまま予約するのは明日でいいかと毎日後回しになりがちです。

義務のように毎月通うのも悪くないですが、負担となっていつか通わなくなるのもよくありません。

ではどんな心構えで通うことが負担にならずずっと長く続けられるかというと、

①検診を受けた日に次回の予約をとってしまう。

②美容院の感覚で、身体のメンテナンスの一つとして気軽にとらえる。

ことがお勧めです。

実際に、治療のない歯科検診は、気持ち良いものです。

歯のブラッシングは歯のプロが丁寧に磨き、歯石を除去していきます。

終わった後は、お口の中は、すっきり爽やか、爽快気分です。

予防歯科は具体的にどんなことするの?

先ほども軽く触れましたが、予防歯科には

歯医者で行う予防の「プロフェッショナルケア」

自宅で行う予防の「セルフケア」

があります。

では、具体的に触れていきましょう。

プロフェッショナルケア

プロフェッショナルケアとは、歯科衛生士などによる歯磨きの指導や予防処置のことをいいます。

①むし歯のチェック

レントゲンなどの精密機器の使用や歯科医師が目視でむし歯の有無をチェックします。

初期のむし歯であれば修復することが可能ですが、自覚症状はなく、見た目もほぼ変わりないためご自身で見つけることが困難なことが多いです。

②歯茎チェック

歯垢や歯石、歯茎の色や炎症・出血の有無、歯周ポケットの状態、歯のぐらつきをチェックします。

歯科健診を受けたことのある方はご存じかと思いますが、歯茎をチクチクされながら英語と数字を言いながら、チェックをします。

これは歯周ポケットの状態をチェックしていて、歯と歯茎の間の溝の深さをチェックしています。

この歯周ポケットに歯垢が溜まると、細菌による歯茎に炎症を起こし、溝が深くなり歯周病となり、最終的には歯を支えている骨を溶かし抜歯に至るなんてこともあります。

むし歯と同じように歯周病も初期では自覚症状がないため歯科検診でのチェックがとても大切です。

④歯垢の染め出しチェック

歯垢(プラーク)は、むし歯や歯周病の原因ですが、これをきれいに取り除くことはとても困難7です。

どこにプラークがつきやすいかをチェックするために、歯垢の染め出しをします。

⑤歯垢・歯石取り(クリーニング)

歯垢ろ歯石を取りながら、セルフケアで歯垢が取り除けているかをチェックします。

磨き残し、普段の歯磨きの方法をチェックし、正しい歯磨きの方法や、磨き残しの多い部分

の磨き方などを改善・指導します。

⑥専用の器具を用いた仕上げ磨き

こちらは、歯科医院で歯面清掃のことです。

専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使用して、歯の清掃や研磨を行います。

⑦歯科相談

むし歯や歯周病の悩み事以外でも、歯医者さんは相談にのってくれます。

些細なことでもかまいません。不明点、質問等あればお気軽の相談ください。

セルフケア

セルフケアとは、歯科医師や歯科衛生士から受けた指導を活かして、実際自分で行うケアのことです。

①毎日のブラッシング

磨き残しがないように、少なくとも日に2度はしっかりブラッシングしましょう。

またお風呂で暖まりながらしっかり歯磨きするのもお薦めです。

すくなくとも2~3日に一度は、デンタルフロスか歯間ブラシを使用して、歯と歯の間の歯垢(プラーク)や汚れをとるようにしましょう。

②歯間ブラシやフロスなども活用

デンタルフロスとは歯と歯の間の汚れを掃除するための細い糸のようなものです。

歯と歯の間は歯垢(プラーク)がたまりやすい場所で、ブラッシングだけで汚れを落とすのはとても困難です。

そのため、デンタルフロスを使用し、歯と歯の間の歯垢を取り除くことが大切です。

使い方も歯科衛生士の指導を受けて正しいフロスの使い方を習得しましょう。

すくなくとも2~3日に一度は、デンタルフロスか歯間ブラシを使用して、歯と歯の間の歯垢(プラーク)や汚れをとるようにしましょう。

⓷フッ素をできるだけ長く残す

フッ素の効果を発揮させるには、できるだけ長く口の中にフッ素を残すことが重要です。

フッ素入りの歯磨き粉を使用して、1か所10秒以上の時間をかけてしっかりと歯を磨きましょう。

口をすすぐ際には、フッ素が流れてしまわないように少量の水で軽くうがいをするだけで大丈夫です。

④細菌の増殖を抑える

むし歯や歯周病の予防には、原因となる細菌を口の中に増やさないことが大切です。

就寝中は、自浄作用を持つ唾液の分泌が減少するため、口内の細菌がとても増殖しやすくなります。

細菌の増殖を抑えるために、就寝前には必ず歯を磨くようにしましょう。

歯磨きだけではなく、殺菌成分が配合されたデンタルリンスで口をすすぐことは、さらに効果が期待することが。

就寝中に増殖した口内の細菌を取り除くために、起床後はすぐに口をすすぐこともおすすめです。

まとめ

歯は進行してしまったむし歯を治療しても元の健康的な自分の歯には戻ることは決してありません。

一本でも多く自分の歯で、食事をたのしみたくありませんか?

いつまでも美味しいものを食べるためにもご自身が意識的に予防に努めることが1番の予防につながります。

定期検査を受けなければならないのはわかってるけれども、後回しになっている方、当院へ一度お越しください。

一緒に予防歯科に取り組んでいきましょう。

子どもの矯正のメリット、どんな症状の時に矯正を考えるの?

2023年9月4日

こんにちは。

大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

今回は子ども矯正について、お子さんが治療をするべきかしないべきかをお悩みの方へ、

そのメリットと、子どもの歯並びがどんな状態だったら矯正を考えるべきか、についてお話したいと思います。

子どもの矯正のメリットとデメリットは?

子どもの歯並びやかみ合わせなど、気になるけど費用も時間もかかるだけに、失敗したらどうしようなど、不安になる方も多いかと思います。

そこで、したほうがいいのか、しなくてもいいのかの判断要素として、メリットのご紹介です。

子どもの矯正の主なメリットは次の5つです。

①永久歯の生える方向をコントロールすることができる。

②あごのバランスを整えやすい。

⓷治療期間が短くなる可能性がある。

④コンプレックスの解消につながる。

⑤歯を抜かずに矯正できる可能性が高い。

では、具体的に説明します。

①永久歯の生える方向をコントロールすることができる。

乳歯が抜けず長く残っていると、永久歯が乳歯を避けて生えようとするため、生える位置が理想とは異なる原因となります。

乳歯が抜けるタイミングを計画的にコントロールすることで、永久歯がずれて生える原因を解消し、永久歯の歯並びやかみ合わせを理想に近づけることができます。

また、逆に乳歯が早く抜けてしまった場合、左右の歯が移動してしまい永久歯が生えるスペースがなくなってしまうことがあります。

その場合も器具を装着することで、理想的な位置に永久歯が生えるためのスペースがなくならないよう、処置を行うことができます。

②あごのバランスを整えやすい。

あごも子どもの間に大きく成長します。

噛み合わせの良くない状態をそのままにしておくと、あごの成長のバランスが崩れてしまう可能性があります。

こちらも、子どもの時期に矯正を行うことにより、噛み合わせがよくなり、あごがバランスよく成長し、結果的に顔のバランスが整えられます。

⓷治療期間が短くなる可能性がある。

永久歯生え始める第1期治療(3~10歳)から矯正を始めることができれば、生えてくる歯をコントロールすることができるため、生えるスピードにも寄りますが、第2期治療(思春期成長後~成人)から治療を始める場合と比べて治療期間、費用を抑えることができることもあります。

また、あごの成長もコントロールできるので、第2期治療からも治療が早く終わることがあるほか、第2期治療が必要なくなる場合もあります。

④コンプレックスの解消につながる。

子どもの時期に歯並びを改善することは、歯並びやあごのバランスの悪さなどのコンプレックスの解消につながり、健康的な精神発達の環境を整えることができます。

⑤歯を抜かずに矯正できる可能性が高い。

成人から矯正を行う場合に抜歯をしてスペースの確保が必要な症状でも、あごの成長期である子どもの時期に矯正を行うことで、抜歯をする可能性が減ります。

理由はあごが小さくて永久歯が生えるスペースがない場合は、歯と歯のあいだを広げて永久歯が生えるスペースを確保します。

歯と歯が重ならないように計画的に永久歯を並べるので、スペース確保による抜歯の可能性を減らすことができます。

以上が子どもの矯正の大きなメリットです。

永久歯の生えそろう前の、成長期の途中のお子さんだからできるメリットが大きいですね。

ただ、成長期・思春期の子どもに器具等を装着する為、やはり子どもへの負担は多少あります。

次にデメリットもいくつか紹介します。

①治療期間が長引くこともある。

子どもの矯正はあごの成長がピークを迎える中学生から高校生まで、経過観察を必要とする場合があります。

ケースによっては継続的な治療が必要になることもあります。

②装置によってはむし歯のリスクが高まる。

歯に取り外しのできない器具を装着する場合、食べ物が絡みやすく、歯ブラシが届きにくいため、むし歯のリスクが高まります。

これまで以上に入念な歯みがきと予防ケアが必要となります。

⓷結果に差が出てしまうことがある。

自分で取り外し可能な着脱タイプの装置を使う場合、歯科医院で指示された装着時間などの使用方法を守ることが大切です。

装置の違和感からついついサボりがちになっては矯正が安定せず、治療が進みません。

お子さん自身に理解と協力を得ることができなければ、思うような結果が出にくいです。

お子さんの治療へのモチベーション維持のため、ご家族のサポートが治療成功の道へとつながります。

④歯根吸収の可能性がある

歯根吸収とは、歯の根っこが溶けてしまうことです。

歯根吸収は矯正治療以外でも起こることがあります。

断言はできませんが、矯正治療では歯の生え方をコントロールするため、根っこに強い力が加わることなどが考えられます。

もしも、歯根吸収が生じた場合、矯正治療の中止や、歯の連結・固定など新たな治療が必要となります。

こちらは、小児矯正だからというわけではなく、大人の矯正でも起こりうる症状です。

以上が大きなデメリットです。

費用、時間・負担がかかる治療なだけに、良いことだけではなく、デメリットも治療の心構えの一つとして入れておいたほうがいい知識かと思いましたので、紹介いたしました。

どんな症状の場合、子どもの矯正を考えたほうがいいの?

では、どういった症状の時に承認矯正を考えたらいいのかという不安もあるかと思いますので、こちらで紹介いたします。

受け口

反対咬合(はんたいこうごう)といい、下の歯が、上の歯よりも前に出てしまっている状態のことです。

遺伝的な要因と、それ以外(悪習癖)が原因として挙げられます。

サ行やタ行の発音が難しくなってしまう場合があります。

噛み合わせが良くない

開咬(かいこう)といい、上の歯と下の歯の前歯がしっかりと噛み合わない状態のことです。

開咬の原因は、口呼吸や舌癖、指しゃぶりなどがあり、発音に影響がでます。

また、前歯が噛み合わないと、前歯で食べ物を噛み切ることが難しく、噛むときに使う咀嚼筋(そしゃくきん)への負担が大きくなります。

このような場合、顎関節症のリスクも高くなり、見た目の問題だけでなく健康面への影響も少なからずあります。

前歯が出ている

上顎前突(じょうがくぜんとつ)といいます。

上顎前突は、遺伝など先天的な要因と、指しゃぶりや舌癖、口呼吸など後天的な要因があります。

口が開いた状態になりやすいため、口の中が乾燥するため、むし歯や歯周病になりやすいです。

また、食べ物を正しく噛むことが難しいため、子どもの成長を妨げてしまうこともあります。

歯並びがガタガタしている

乱杭歯(らんぐいし)といいます。

歯の生え変わりの時期に乳歯がなかなか抜けず、大人の歯が出て来ることができず、乱杭歯の原因となることがあります。

また、「あごの発達が十分でない」、「歯が大きい」などの遺伝的要因もあります。

歯並びが悪いと、歯磨きがしにくくむし歯や歯周病になりやすくなってしまいます。

まとめ

以上で子どもの矯正のメリットと始めるきっかけとなる症状のお話を終わります。

子どもの歯並びや骨格は、遺伝的なものや癖が原因で悪くなってしまいます。

歯並び治療などを受けて、徐々に改善しながら将来を見据えて矯正治療を行うことで、健康的で理想に近い歯並びや顔のバランスを守っていくことできます。

お子さんの歯と体の健康を守るため、成長期のお子さんに適した治療があります。

もし、子どもの矯正を始めるか、お子さんの歯並びなどに矯正が必要なのかどうか、不安に思うことがあれば、是非一度当院にご相談ください。

訪問歯科診療とは?その特徴と内容について解説!

2023年8月28日

こんにちは。

大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

訪問歯科」というものをご存知でしょうか?

読んで字のごとく、歯科医師や歯科衛生士が個人のお宅や介護施設などを訪問し、歯科診療を行うサービスのことです。

自力での通院が難しい方向けのサービスで、社会の高齢化に伴い今後ますますニーズが高まっていくと思われますが、

現状では、

・利用したことがある・・・7%
・制度についてまったく知らない・・・59%
(要介護者とその介護者の計500名への聞き取り調査結果)

と、その知名度は高くありません。

一人でも多くの方に訪問歯科診療を知っていただき、口腔機能を維持して健康的な生活が送れるように、訪問歯科を活用していただければ幸いです。

訪問歯科診療の対象となる方

では、どのような方が訪問歯科診療を利用できるのでしょうか?

希望者ならどなたでも・・・というわけにはいかず、原則として病気やケガなどの理由により、自力での通院が困難な方に限られます。

歯科以外に通院している医療機関がある場合、通院可能とみなされ対象から除かれることがあります。

また、車椅子などを使えば自力で移動できる方も基本的には制度の対象外です。

家族にサポートしてもらって通院しているなど、判断が難しい場合は事前に確認をしてください。

訪問歯科診療の利用条件

訪問歯科診療を利用するための条件は、前項でも触れたように病気やケガで通院か難しい場合、堅い言い方をすると「疾病、傷病による通院困難者」となります。

ですが、例えば要介護度いくつから利用可能、という風に一律に決まるものではなく、歯科医師が個人の状態を見て利用可能かどうかの判断をします。

また、訪問先は利用希望者が実際に寝泊まりしている場所となります。

自宅のほか老人ホームや高齢者向け住宅、介護のための施設のほか、歯科のない病院に入院している場合なども含まれます。

これに対し、デイサービスやデイケアは寝泊まりしている場所ではないため、訪問歯科診療を頼むことはできません。

保険は使えるの?

訪問歯科診療は通院の場合と同様、医療保険、介護保険の適用対象となりますので、自己負担は1割〜3割です。

ただし、訪問歯科では治療費の他に訪問診療費が加算されます。また、要介護認定を受けている方は居宅療養管理指導にかかる費用も必要です。

そして、保険適用となるには条件もあり、訪問歯科診療を受ける方の居宅や施設から、訪問診療を行う歯科医院までが半径16km圏内に位置していなければなりません。

それよりも遠い歯科医院の訪問診療を希望する場合、かかる費用は全て保険適用外となります。

ただし、例外もあり、

自宅や施設付近に訪問診療を行う歯科医院がない。

範囲内に歯科医院はあるが医師の不在などタイミングが合わずに依頼ができない。

など、といった場合では半径16km圏外からの訪問でも保険適用となることがあります。

ご自身の状況で保険適用となるかどうかは、依頼の前に確認しておくと安心です。

訪問での治療内容は?

「歯科医院で治療を受ける時に比べて、訪問だと機材や設備に限りがあるのではないか?」

訪問歯科診療のお話をすると、よくこのように聞かれますが、専用のポータブルユニットと呼ばれる機械や、携帯用のレントゲン撮影機など治療に必要な機材や器具一式が揃っています。

むし歯や歯周病の治療、抜歯、詰め物、被せ物の処置や、入れ歯の作成、口腔ケアなど各種治療、検査、相談に対応可能です。

一部、姿勢や照明などに制限が生じるため、治療内容によっては歯科医院で治療を受ける方が良い結果になることもあります。

また、訪問の際は十分な機材を揃えて伺いますが、全て歯科医院と同じようにあらゆるものが揃っているわけではありません。

よって、治療の内容によっては後日の対応になることもありますが、基本的に通院と同じ内容の治療が受けられると思っていただいて結構です。

訪問歯科診療ならではの専門性

訪問歯科診療を受けられるのは通院が困難な患者さんであるため、そのほとんどが高齢者、要介護者であると言えます。

そのため、訪問診療では一般の歯科医院では対応しきれないような、介護が必要な高齢者への治療におけるノウハウや専門性を持った歯科医師、歯科衛生士、各種専門スタッフで対応しています。

また、必要に応じて介護事業者や他科医院との連携も行い、包括的なケアが提供できる体制を整えていきます。

訪問歯科診療のメリット・デメリット

ここまでの内容を、メリット・デメリットで整理してみました。

メリット

・在宅のまま歯科治療が受けられる

・慣れた環境で治療を受けられるので精神的負担が少ない

・介護を行う方へ普段の口腔ケアのやり方を指導できる

・生活環境を踏まえた治療や助言ができる

・口腔環境の改善に伴い、肺炎などの感染症リスクを低下させる

要介護者の9割は歯科治療、専門的な口腔ケアが必要と言われています。

通院が難しい患者さんにとって、在宅のまま治療が受けられるのは一番のメリットです。

特に、高齢者の口内環境の悪化は、誤嚥性肺炎を始めとした歯周病菌によってもたらされる全身の感染症リスクを高め、生命の維持に関わる問題です。

そのような病気の発生を抑制することで、介護者の負担軽減や医療費の削減にも繋がりますので、社会全体にとっても有意義です。

デメリット

・通院に比べてやや費用がかかる

・一部、治療内容に制限が出る場合がある

・その場での即対応が難しい時もある

保険の項でもお伝えしたように、訪問診療費や居宅療養管理指導費が必要となる関係で、外来と比べるとその分の費用は必要となります。

ですが、自家用車での送迎やタクシーを使うことや、送迎に伴う介助の負担などを考えると、通院よりも訪問歯科を利用する方が精神面や費用面での負担はむしろ軽くなるとも考えられます。

治療内容に関しても概ね遜色はないため、訪問診療を利用して定期的に歯科治療を受けるメリットの方が上回ると言えます。

訪問歯科診療の事例

実際に訪問歯科診療を受けた方の事例を拝見してみましょう。

事例1)入れ歯が合わずに炎症が起きて、口腔内に痛みがあり食事に支障が出ていた。

訪問診療にて新しく入れ歯を作成し、噛む機能が改善され、以前より食事が摂れるようになり、体重も増加、家族によるケアの負担軽減にもつながった。

事例2)病気の治療のため胃ろうとなり、口腔機能が低下。口から食べない状態が続くことで唾液の分泌が弱まり、口内の汚れが流れずに溜まっていた。

訪問診療での口腔ケアを経て、プリンやゼリー、さらにはスルメが食べられるまでに改善。

※訪問歯科.jpの利用者体験談より抄録

2件の事例ではともに、治療を受けることでご本人やご家族の悩みの解消につながり、とても喜んでいたとのことでした。

要介護状態では口の中の清掃がおざなりにされやすく、口腔ケアはQOLや病気の予防に欠かせません。

訪問歯科診療をご希望、ご検討の方は、ぜひ当院までご連絡ください。

まとめ

今後ますます高齢化が進む日本では、健康寿命という考え方も重要となってきます。

口腔機能や嚥下機能を保つことは、高齢者、要介護者の栄養状態や全身の感染症を防ぐために欠かせない要素です。

これまで通院が難しく、適切な歯科治療が受けられていなかった方に訪問歯科診療について知っていただき、一人でも多くの方が健康的な生活を送れるように、我々はやし歯科スタッフ一同、今後一層の情報発信に努めていきたいと考えています。

むし歯治療って何をするの?

2023年8月21日

こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

今回はむし歯について、またむし歯治療や予防法についてお話しします。

むし歯ってなに?

むし歯は、口の中にいる細菌が作り出した酸によって、歯が溶けた状態をいいます。

口の中にはさまざまな種類の細菌が住んでいて、むし歯や歯周病の病原菌も含まれていて、特にむし歯の病原菌のミュータンス菌が有名です。

ミュータンス菌は私たちが食べたり飲んだりする糖分を栄養にして増殖し、菌の周囲にネバネバしたグルカンというノリのような物質を出します。

ネバネバした物質が歯に強力に付着して、細菌の集合体が作られ、歯の表面に白い汚れとなったものがプラークです。

また、ミュータンス菌は同時に乳酸も作り出し、プラークの中は酸性になり、接触している歯の表面のエナメル質は酸によって溶けてしまいます。

この状態を脱灰、初期むし歯(CO)といい、歯の表面が不透明な白い色になり、痛みを感じることはありません。

歯に穴があく一歩手前の状態であれば、削って治療をしなくてもよいです。

脱灰している歯が、口の中の唾液で、細菌の作り出した酸を中和して洗い流したり、溶けだしたカルシウムやリンを歯の表面に戻す働きを、「再石灰化」といいます。

毎日のはみがきで使用する歯磨き剤の中に、フッ素が含まれていて、再石灰化を促進します。

また歯科医院では、からだに安心な濃度のフッ素化合物を使用して、歯面塗布法やイオン導入法をおこない歯質強化や再石灰化の促進が可能です。

また正しいブラッシングで、プラークを取り除きましょう。

歯が溶け続けると、穴が開いてしまい、治療が必要になります。

むし歯になりやすい人

人によってお口の中にいる細菌の種類は異なりますが、ほとんどの人のお口の中にはむし歯菌がいます。

むし歯菌の多い人、むし歯菌が活発に活動しやすくなる人はむし歯になりやすいです。

つまり、歯みがきと食生活が大きく影響します。

むし歯菌ができやすい人は、
・プラークを上手に除去できない人
・プラークのなかの細菌の栄養である糖分を頻繁に摂取する人
・唾液の量が少ない人

プラークがついたままだと、細菌は増え続け、酸によって歯が溶ける時間が長くなります。

また、頻繁に間食やおやつを摂る人は、プラーク中の細菌の活動が盛んになり、酸も多く作られるのです。

唾液は、口の中の細菌を洗い流したり、酸を洗い流したり薄めるのにとても重要な役割を果たしています。

初期むし歯では、再石灰化を促進する働きが唾液にあり、唾液の量もむし歯の進行と関わりがあります。

年齢別!むし歯のできやすい場所

子どもの歯(乳歯)は大人の歯に比べ、むし歯になりやすく、むし歯に対しての抵抗性が低いので進行が速くなります。

歯全体で神経の占める割合が子どもの歯は高いため、穴が見つかった場合はかなり進行していることが多いです。

子どもの歯のむし歯を放置すると、大人の歯(永久歯)の歯並びに影響を及ぼします。

小さいうちから歯科医院に慣れ、予防のための来院がおすすめです。

年齢によってむし歯になりやすい場所は異なりますので、以下に年齢ごとにむし歯になりやすい場所を紹介します。

1~2歳:上の前歯

上の前歯の間や裏側に食べ物がつまりやすいです。

歯みがきのときに、気を付けて見てください。

また、飲み物の種類に注意が必要で、甘い飲料、乳酸飲料、野菜ジュース、スポーツドリンクは糖類がたくさん含まれています。

一度甘い飲み物をおいしいと覚えてしまうと、欲しがりますので、お水やお茶がよいでしょう。

2~3歳:奥歯の咬む面

食べ物を奥歯で咬んで食べる時期になり、食べ物の残りがたまりやすくなります。

特に、上の奥歯は見えにくいので注意が必要です。

4~5歳:奥歯の間

咬む面からは見えづらく、歯と歯の間に細菌があるとむし歯の進行が速いです。

第一大臼歯(大人の歯)が生える準備をするため、子どもの歯が押され歯と歯の間に物が詰まりやすくなります。

普段からフロスを使用して予防しましょう。

6~9歳: 第一大臼歯(大人の歯)

生えたての大人の歯はむし歯になりやすいです。

生えてきたばかりの時は手前にある子どもの歯と高さの差があり、歯ブラシが届きにくく磨き残しが多くなります。

小学低・中学年までは磨く技術が未熟なので、仕上げ磨きを継続してください。

永久歯の生え変わりの時期なので、注意が必要です。

9~12歳:子どもの歯の奥歯と第一大臼歯の歯の間

第二大臼歯が出てくる準備のため第一大臼歯が押され、隙間が詰まり汚れがたまりやすくなります。

小学校高学年まで仕上げ磨きが理想ですが、精神発達上、反抗期となるため仕上げ磨きは困難なことが多いです。

おうちの方から声掛けをしていただき、食生活に気を付け、歯科医院で定期的にお口の中のチェックをしてもらいましょう。

中高生:歯と歯の間、奥歯のかみ合わせの面、歯と歯ぐきの境目

食生活が乱れがちなので、おうちの方からも食後の歯みがきと飲み物の種類に注意をしていただき、定期的に歯科医院でお口の中のチェックをしましょう。

成人や高齢者

・むし歯治療した詰め物の材料と歯の境目
・歯の根元

プラークがつきやすく、磨きにくいところです。

多くの場合、むし歯がかなり進行しないと痛みなどの症状がでません。

定期的に歯科医院で、お口の中をチェックしてもらい、早期発見を心がけましょう。

むし歯の治療法

むし歯の進行状態とその治療法を紹介します。

エナメル質のむし歯(C1)

歯の表面(エナメル質)の限られた狭い範囲に穴があいた状態。

症状:しみたり痛みは感じない。

治療法:むし歯になっている部分を削り取り、レジン(歯科用プラスチック)を埋めて治療する。

象牙質まで進んだむし歯(C2)

歯の内部に広がり、象牙質まで進んだ状態。

症状:冷たい飲食物で痛みを感じる。

治療法:むし歯になっている部分を削り取り、詰め物(インレー)で補う。

神経まで進んだむし歯(C3)

神経(歯髄)まで進んだ状態。
むし歯の表面の穴は必ずしも大きくなく、内部で広がっている場合がある。

症状:激しい痛みがある。

治療法:神経を除去し、神経が入っていた管(根管)の内部を消毒して薬剤を詰める根管治療をおこない、     かぶせ物(クラウン)を被せます。

歯根だけ残ったむし歯(C4)

歯の部分がほとんど崩壊し、歯の根だけが残った状態。

症状:神経(歯髄)が死んでしまい、痛みを感じなくなる。
神経が露出して、細菌に感染すると、根の先に膿がたまったり、痛みが出ることもある。

治療法:多くの場合、抜歯が必要です。抜歯後、入れ歯やブリッジ、またはインプラントなどで失った歯の    機能の回復を改善する。

むし歯菌が神経まで達してしまうと抜歯になるケースもありますが、根管治療により歯を残せる可能性が高くなります。

根管治療では、根管内から確実にむし歯菌をいかにして取り除くかがポイントです。

しかし、根管は細くて複雑な構造をしているので、確実に治して再発を防ぐには一度では治療が終わりません。

数回にわたって通院が必要ですが、しっかりと治しましょう。

歯の根元のむし歯

日頃、「食べ物が歯にはさまる」、「歯の根元がしみる」、などと感じることはありませんか?

上記のように感じた場合、鏡を見ていただくと歯ぐきが下がっているかもしれません。

年齢とともに歯ぐきが下がると、今まで歯ぐきで守られていた根元の象牙質が露出して無防備になります。

露出した根元の部分にむし歯菌や酸にさらされ、できるむし歯を「根面う蝕」といいます。

歯の根元の部分は、硬いエナメル質の部分と違い、酸に弱く溶けやすい象牙質です。

歯が溶け始める臨界㏗が、エナメル質が5.5程度であるのに対し、象牙質の臨界㏗は6.0~6.2と中性にかなり近い状態で溶け始めてしまいます。

歯の根元にむし歯ができるので、気づきにくく、進行も早く歯を失うリスクが高いです。

歯の根元のむし歯は40歳代以降、年齢とともにリスクが高くなるので、日頃のケアと定期検診を受けましょう。

また、歯の根元の象牙質は、表面に無数の穴があいていて、直接刺激が伝わって「知覚過敏」をおこしやすくなります。

知覚過敏を防ぐには、知覚過敏用の歯みがき剤の使用や歯科医院でしみ止めの薬を塗布してもらうとよいでしょう。

しっかり磨こうとゴシゴシやり過ぎてしまうと、歯ぐきが下がる原因になります。

日頃から、歯ぐきが下がらないように適切なブラッシング圧が大切です。

一般的に、適切なブラッシング圧は100〜200gといわれています。

目安として、
・歯ブラシの毛先を歯に当てたときに毛先が広がらない
・シャカシャカと磨く音がする
・毛先が歯と歯のあいだに入る

心配な方は、歯ブラシの持ち方や磨き方について、ぜひ当院でお問合せ下さい。

むし歯の予防法

食生活を正しくして、子どもも大人もむし歯になりやすい場所を注意して磨きましょう。

フッ素にはむし歯の発生と進行を抑える働きが3つあります。

1.歯の質を強化

歯のエナメル質を酸に溶けにくい性質に変え、むし歯への抵抗力を高めます。

2.歯のエナメル質の修復を促進

酸によって歯から溶けだしたカルシウムやリンを補うことを促進します。(再石灰化)

3.菌の働きを弱める

むし歯を引き起こす細菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑えます。

上記のフッ素の働きを利用して、歯科医院ではフッ素塗布法やイオン導入法をおこなっています。

必要に応じて、かみ合わせの溝が深いところにレジンというプラスチックで物理的に封鎖し、むし歯を予防します。

また、多くの歯みがき剤にもフッ素が含まれています。

歯みがきの後に、何度もすすぐとフッ素が流れてしまうので、1回程度にしましょう。

むし歯予防に効果があるフッ素を口の中に長くとどめておくのが大切です。

唾液には、口の中の汚れを洗い流す働きがあるので、かみごたえのあるものをよくかんで、唾液がよく出るようにしてください。

また、砂糖ではなくキシリトール入りのガムをかむことでも唾液の出る量が増えます。

だらだら食べ続けると、お口の中でむし歯菌が酸を作り続けてしまうので、時間を決めて規則正しくし、楽しみましょう。

定期検診って何をするの?メリットはあるの?

2023年8月14日

こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

今回は定期検診についてお話しします。

定期検診

歯科医院では、みなさんの歯とお口の健康を守るために、定期的に検診をおこなっています。

定期検診を受けると、早期にお口の中の問題を発見することができ、適切な治療が可能です。

定期検診を受けずにいると、むし歯や歯周病がご自身では気が付かないうちに進行してしまうでしょう。

思わぬ痛みが出てしまったり、治療が複雑になったり、時間も費用もかかってしまいます。

あとで辛い思いをしないためにも、定期検診がおすすめです。

以下に定期検診の内容を紹介します。

むし歯のチェック

むし歯は初期の頃は痛みがないことがほとんどです。

歯のかみ合わせの面、歯と歯の間、歯の根元、以前に治療した詰め物やかぶせ物の境目にむし歯ができやすいので、進行状況を必要に応じてレントゲン撮影で確認します。

歯周病のチェック

歯周ポケット、出血の有無、歯の動揺度、プラークの付着状況、歯石の沈着状況をチェックして歯周病の進行状況をチェックします。

かみ合わせのチェック

かみ合わせに問題があると、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。

子どもの場合は、生え代わりの時期にかみ合わせが変化するのでチェックが必要です。

また、義歯(入れ歯)を装着している場合は、使用していると使い心地が変わるので調整します。

お口の中の粘膜のチェック

お口の中の粘膜に異常がある場合は、口腔がんなどの病気の可能性があります。

唇、舌、口角などの粘膜にできる炎症(口内炎)はお口の中や周辺に原因があるものと、全身的な原因があるものがありチェックが必要です。

プラークの染め出し

プラークはむし歯や歯周病の原因です。

普段は歯の色に似ていて白っぽいので分かりにくいのですが、染め出すとプラークがどこについているのか目で見てすぐにわかります。

ブラッシング指導

染め出されたプラークをブラッシングで落とします。

一人ひとりお口の中の状況は異なりますので、それぞれに合った磨き方を教えてもらいましょう。

歯ブラシ、歯磨き剤、デンタルフロス、歯間ブラシの正しい使い方も聞いてください。

歯科衛生士や歯科医師から正しいブラッシングの仕方とポイントを指導してもらえます。

プラークの除去

歯ブラシで取りきれなかったプラークは、むし歯や歯周病の原因になります。

歯科医院では歯科専用のブラシとペーストを使ってプラークを取り除きます。

歯石の除去

歯石は歯周病を引き起こす原因のひとつです。

歯石は自分で取り除くことはできないので、歯科医院でとってもらいましょう。

むし歯予防

お子さんが産まれる前から、妊娠中のお母さん自身のこととお子さんの将来の健康のために食育や歯みがきなどについて知っておくことは重要です。

フッ素歯面塗布法やイオン導入法を用いて歯の質の強化を促します。

お子さんの場合、歯ブラシが届きにくい奥歯の溝にプラスチックの材料で埋める、シーラントという方法があり、むし歯予防に効果的です。

歯科相談

むし歯や歯周病についての悩み事以外でも相談が可能です。

乳歯(子どもの歯)や生え替わり、かみ合わせに関すること、顎の痛み(顎関節症)、粘膜について、赤ちゃんから高齢の方まで、お口の中に関することなら何でも聞いてみましょう。

定期検診の頻度

歯科の定期検診の頻度は、3~6ヶ月に1回とされていることが多いです。

むし歯や歯周病のリスクが高い人は頻度が多くなることもあります。

歯周病は年齢を重ねるにつれて歯周病になる人が増える傾向にあるので、定期検診の頻度が多くなるでしょう。

定期検診でプラークを一度除去しても、歯周病菌は3ヶ月後にまた増えるといわれています。

歯周病を防ぐために、3ヶ月を目安に定期検診を受けるのがおすすめです。

定期検診の頻度が少ない、または受けないでいると、むし歯や歯周病の症状が進行してしまいます。

進行が速い場合もあり、発見や治療が遅れるリスクがあるので必ず定期検診を受けましょう。

定期検診のメリット

定期検診を適切な頻度で受けているのと受けていないのでは、年齢を重ねたときに残っている歯の数が異なります。

予防歯科が進んでいるスウェーデンでは、定期検診の受診率は80%で、80歳の方の残っている歯の本数は平均20本です。

一方、日本では80歳の方の残っている歯の本数は平均12本で、定期検診の受診率が低いことが分かります。

定期検診を受けると、むし歯や歯周病を予防し、80歳頃でもご自身の歯でおいしく食事を摂ることが可能です。

参考:https://mainichi.jp/sp/swedenstyle02/

むし歯・歯周病の早期発見と予防

むし歯や歯周病を引き起こす原因は、毎日の歯磨きだけでは落とせない汚れや細かい部分の磨き残しです。

歯科医院の検診で定期的にクリーニングを行うと、予防効果だけでなく、小さなむし歯や歯周病の早期発見、早期治療ができるメリットがあります。

全身の病気を予防できる

歯周病は、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、アルツハイマー病などの全身の病気と関係があることが国内外の研究でわかってきました。

また、妊婦の早産や低体重児出産にも影響を及ぼすことが報告されています。

歯周病の予防は全身の病気を予防することにつながるのでとても大切です。

健康寿命を延ばす

大学の調査で、自分の歯が多く残っている人ほど健康寿命が長いことが報告されています。

歯を失うことは、かみにくくなり、食べる物が偏って栄養バランスが崩れ、免疫力や筋力の低下だけでなく、認知機能にも悪影響です。

寝たきりや要介護につながる傾向が強くなることがわかっています。

一生涯にかかる医療費の負担を軽減

症状もないのに、定期的に歯の検診に行くのは負担だ、という声も聞きます。

しかし、定期検診を継続すると歯の健康だけでなく全身の病気予防にもつながります。

痛くなってから受診した場合、症状がかなり進行している場合がほとんどです。

そのため、治療費用や時間も回数も増えてしまいます。

定期検診を受けていれば、治療費や回数、痛みの負担など、結果的に軽く済むことが多いでしょう。

歯の定期検診は、将来のお口と体の健康に対する投資ともいえます。

むし歯や歯周病は特に、毎日のセルフケアが大事です。

日々の生活の中で、正しい歯みがきや食生活が予防につながります。

まとめ


いかがでしたでしょうか。

歯の定期健診はむし歯や歯周病を予防するため、むし歯や歯周病を早期発見し、進行する前に治療し、歯を長く健康に、1本でも多く保つことを目的としています。

むし歯の進行や、歯周病の重症化リスクが抑えられれば、全身の生活習慣病(糖尿病、心筋梗塞など)の予防にもつながります。

少しでもわからないこと、不安に思うことがあれば、当院へご相談ください。

ぜひこの機会に3~6ヵ月ごとの歯の定期検診を習慣にしましょう。

口腔外科と一般歯科との違いとその歴史、対象となる疾患とは?

2023年8月7日

こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

口腔外科って?

皆さんは「口腔外科」について、どの程度ご存知でしょうか?

一般に外科というと手術を用いて治療する診療科ですが、口腔外科はその歯科版だと考えていただくとわかりやすいと思います。

口腔外科で取り扱う領域はいわゆる一般歯科のそれとは異なり、主に外傷や骨折、変形等の先天異常、歯槽膿漏をはじめとする口腔の炎症、口腔腫瘍などの診療にあたります。

歯科医と口腔外科医でライセンスに違いはなく、歯科医師免許があれば口腔外科の診察もできます。

一方で、口腔外科では口腔内にとどまらず、顎、顔面、頸部に及ぶ広範囲の手術を行う場合や、口臭、神経疾患といった内科的な分野の治療も行います。

治療内容やその範囲によっては耳鼻科など他の医科との連携が強くなり、ある意味で医科と歯科の中間のような立ち位置であると言えます。

このため、一定以上の研修や経験を積み、所定の審査を経た歯科医師を専門医・認定医・指導医と定めています。

口腔外科専門医・認定医は、特殊な親知らずの抜歯など一般歯科では処置が難しい症例の対処にあたります。

もちろん、必要に応じて一般歯科と専門医は連携を取って治療を進めますので、歯科を受診される場合はあまり気にせず、まずは一般歯科を受診されると良いです。

意外に古い?口腔外科の歴史

次に、口腔外科の成り立ちについて見ていきましょう。

歯磨きや口腔衛生の考え方は、古墳時代に仏教の伝来とともに朝鮮半島からもたらされたと言われています。

その後、奈良時代に編纂された「養老律令」の中の「医疾令」に内科、外科のほか耳目口歯科が制定された、とあります。

養老律令の起源は718年とありますので、1300年以上前にはすでに口腔外科の考え方が存在していたということになります。

その後、江戸時代には口中医の存在が見られ、明治時代になって西洋医学を取り入れ、現在の歯科の形へと繋がっていきます。

口腔外科で扱う疾患

では、そんな口腔外科では具体的にどのような疾患を扱うのでしょうか。

口腔外科は口や顎周りの外科であることは既に述べました。
外傷や腫瘍、顎関節症などの治療に広くあたりますが、一番多いのはやはり親知らずの抜歯です。

難抜歯

読んで字のごとく難しい抜歯のことを指します。

具体的には、歯根が曲がっている、肥大しているなどの歯の形状により抜歯の難易度が高い状態を歯科では難抜歯と定義しています。

親知らずもこの難抜歯にあたります。

親知らずは日常の歯磨きでも、歯ブラシが届かずにプラークコントロールが難しいため、細菌が住み着きやすく周囲の歯肉に炎症を起こす可能性が高くなります。

そうなると隣り合った奥歯にも悪影響を及ぼすため、親知らずにトラブルの兆候が見られた際は抜歯をすることになります。

ですが、親知らずは口中の一番奥に埋まっている形になりますので、抜歯というよりは手術での摘出といった方がニュアンスとしては正確です。

骨の中に埋まった歯を取り除く親知らずの除去は、難抜歯の中でも特に難しい施術です。

このような難抜歯で、一般歯科での対応が難しい場合、経験を積んだ専門医である口腔外科医が対応にあたることになります。

口腔・顎の外傷

交通事故や転倒、打撲などによる外傷の処置も口腔外科の専門領域です。

歯茎や口唇、顔の皮膚といった軟組織の縫合、衝撃で歯が抜けてしまった際の処置などです。

外傷によって歯が抜け落ちた場合でも、再植処置により元に戻せる可能性があります。

特に歯の根元にある歯根膜細胞が死んでしまうと元に戻せなくなるため、もし事故などで歯が抜けてしまってたら、洗ったりはせずに生理食塩水か牛乳に浸してお持ちいただけると再生の可能性が高まります。

外傷に伴い骨折をするケースもありますが、口腔外科で治療することの多い顔の骨折は下顎骨骨折です。

顔面に外傷を負い、ご自身で医療機関を探される場合は口腔外科の受診をお勧めします。

腫瘍

口腔内にできる腫瘍にも良性と悪性があり、良性腫瘍にはエナメル上皮腫や歯牙腫があります。大きくなってくると歯を圧迫したり、顔貌が変わってきたりするため、摘出治療を行います。

悪性腫瘍には舌がん、口底がん、歯肉がんなどが挙げられます。

これら口腔がん全体の5年生存率は60%〜70%と言われています。
初期のうちに治療を開始することでほとんどの症例が治癒しますので、少しでも思い当たるところがあれば早めに受診してください。

先天異常

生まれた時に唇の割れが見られる口唇裂、口腔と鼻腔が繋がっている口蓋裂など、先天的な異常も口腔外科で扱う病気です。

妊娠初期に胎児に力が加わったり、母体へのストレスや栄養障害、特定の薬剤の影響などが原因として挙げられますが、全体の7割ほどは原因が不明だと言われています。

治療は成人期に至るまでの長期にわたり、複数の診療科と連携して総合的に治療を進めていきます。

顎関節症

口を開け閉めした時に音が鳴ったり、開けにくさや痛みを感じる方も多いのではないでしょうか。

このような症状を表す顎関節症という名前は聞いたことがあっても、何科に行けばいいのかは意外に知られていません。
実はこの顎関節症も専門は口腔外科です。

顎に痛みがある、口が開かない、開口時に音が鳴る、のうち1つ以上に当てはまると顎関節症と診断されますが、顎周りに筋肉のバランスが崩れることで、肩こりや頭痛、首の痛み、また腰痛やめまいの原因にもなり得るため、放置していると生活の質の低下を招くおそれがあります。

思い当たる症状がある方は自己判断せず、一度口腔外科で相談してみてください。

その他疾患

①口臭症

生活の中でマスクを外す機会も増えてきた中で、人に言いづらい悩みとして口臭が気になる方も多いかもしれません。

朝起きてすぐのニオイや、緊張などで唾液の分泌が減った時のニオイといった、特に治療の必要がないものは生理的口臭と呼ばれ、歯磨きやうがいで口内を清潔に保つことで口臭は弱まります。

これとは別に、何らかの疾患に由来する病的口臭というものもあります。

主なものとしてはむし歯、歯周病、歯垢、舌苔といった口腔内の問題ですが、それ以外にも消化器系の疾患による口臭もみられます。

口臭の原因の多くは口腔内の問題に起因しますので、まずは一般歯科または口腔外科で相談してみてください。

②味覚障害

味覚は食事を楽しみ、生活を豊かに過ごすために大切な感覚です。

味覚が損なわれると飲食が不快になったり、場合によっては腐ったものや毒のあるものを取り込んでしまいかねず、生命にかかわることもあります。

味覚の低下や、異常な味を感じる原因は複数あり、治療法も様々であるため、まずは歯科、口腔外科を受診してください。

まとめ

口腔外科は、歯科の中でも外科的な治療を中心とする診療科です。口腔外科で扱う疾患は多岐にわたり、その代表的なものに親知らずの抜歯、口腔がん、顎関節症の治療などが挙げられます。

口腔外科は医科と歯科の中間のような立ち位置と言え、専門医制度も整備されています。

口腔外科は一般歯科と連携して治療を進めますので、口や顎に関するトラブルが発生したら、まずは一般歯科受診してみましょう。

一般歯科で対応が難しい場合は口腔外科へ紹介されることもあります。

お口や顔、顎の健康を守るために、気になることは是非当院へご相談ください。

歯を白くするホワイトニングってどうなの?

2023年7月31日

こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

アフターコロナで行動制限なしの平常対応となり、マスクを外す人も増えてきています。

息苦しさから解放される一方、口元が気になる方も多いのではないでしょうか?

今回は、ホワイトニングについてお話をしていきたいと思います。

自信を持ってマスクを外したい!

実際、長く続いたマスク生活の影響で、自分自身や他人の口元が以前より気になるようになった、との調査結果もあります。

透明マウスピースによる歯科矯正サービスを提供しているゼニュムジャパン社の調査によると、アンケートに答えた人のうち

「マスクを取って口元を見られることに心理的抵抗を感じている」

と答えた人の割合は全体の半数以上の54.4%でした。

また、「自分の口元で気になる部分は?」の問いに対し、「歯の黄ばみ」が37.8%で1位でした。
(他、同率1位に「肌荒れ」「口臭」)

このように多くの人が自分や他人の口元、とりわけ歯の黄ばみが気になっている現状が伺えます。

昔、「芸能人は歯が命」というCMがありましたが、テレビに出なくても歯の白さは気になるもの。

今回は歯を白くする「ホワイトニング」について解説していきます。

そもそも「ホワイトニング」とは?

ホワイトニングを簡潔に説明すると、「薬剤を用いて歯を白くする施術」です。

具体的には歯の内側を白くし、見た目の美しさを向上させることを目的としています。

これに対し、歯の表面に付いた汚れや歯垢を落とすことは「クリーニング」と呼ばれ、区別されています。

最近では、よくネット広告などでホワイトニングを謳う歯磨き粉を目にします。

歯磨き粉で白くなるなら歯医者に行くよりリーズナブル!と思うかもしれません。
ですが、あくまでクリーニングの範疇であり、元々の歯の黄色味を落とす効果はありません。

明日から使える豆知識として、ホワイトニングとクリーニングの定義の違いを押さえておいてください。

歯の黄ばみは自分では落とせない?

では、歯の黄ばみは「クリーニング」では落とせないのでしょうか?

黄ばみについて詳しく見ていきましょう。

歯の黄ばみの原因は2種類に分けられます。

一つは「外因性」によるもので、飲食物やタバコのヤニ、歯磨きの不足による歯石の付着が挙げられます。

黄ばみを招く飲食物の代表例はお茶、コーヒー、ワイン、そしてカレーなどの色の濃い食べ物です。

コーヒーやワインに含まれるポリフェノールは抗酸化作用があり、生活習慣病の予防に役立つと言われる成分です。

しかし歯の表面を覆うペリクルというタンパク質の膜と結びつくことで、ステインと呼ばれる着色汚れの原因となります。

日々の歯磨きが不十分だと、ステインやヤニの汚れが歯に留まりやすくなるだけでなく、磨き残しで口内に残った歯垢が時間とともに歯石へと変化し、歯が黄ばんで見えるようになります。

もう一つは「内因性」と呼ばれ、生まれつきの歯の質によるもの、加齢によって生じる黄ばみがこれにあたります。

歯は、表面のエナメル質とその内側の象牙質で構成されており、エナメル質が薄いと内部の象牙質の色が透けて見えます。

日本人は遺伝的にエナメル質が薄く、欧米人に比べると生まれつき歯が黄色いと言えます。

外因性の汚れはクリーニングなどで取り除くことができますが、内因性の黄ばみはクリーニングでは白くなりません。

生まれつきや加齢による黄ばみを白くしたい場合に有効なのがホワイトニング施術です。

ホワイトニングって具体的に何をするの?

目指す白さや施術を提供する場所によって、いくつかの種類に分けられます。
本項では歯科医院とそれ以外の場合に分けて説明します。

歯科医院で提供するホワイトニング

・オフィスホワイトニング

歯科医院で行うホワイトニングは「オフィスホワイトニング」と呼ばれます。

過酸化水素などの漂白作用のある薬剤を塗布し、特殊な光を照射して短時間で歯を白くします。
1回の施術で白さの実感が得られる方法です。

・ホームホワイトニング

はじめに歯科医院でマウスピースを作成し、処方されたホワイトニング薬剤を塗って自宅で装着する方法です。

ご自身のペースで行っていただける反面、即効性はオフィスホワイトニングの方が勝ります。

・デュアルホワイトニング

「オフィス」と「ホーム」のホワイトニングを組み合わせたものがデュアルホワイトニングです。
歯科医院での施術で白くした歯を、自宅でのケアで長持ちさせられるのが特徴です。

歯科医院以外のホワイトニングって?

近年では歯科医院以外にも「ホワイトニングサロン」と呼ばれるセルフ形式のホワイトニングを提供している店舗が増えています。

溶液やLEDライトを用いるなど施術の形式が似ており、なおかつ1回あたりの料金も歯科でのホワイトニングに比べて安価なため、気になっている方も多いのではないでしょうか。

歯科医院以外のサロンには、当然ながら歯科医師や歯科衛生士は在籍していません。

法律上、無資格のサロンスタッフは施術を行えず、説明を受けながら自分で行う必要があります。

加えて、歯科医院で提供している過酸化水素などの薬剤の取扱いもできないため、実際はクリーニングレベルの「元々の歯の白さ」を目指すものとなります。

もちろん、どの程度の白さを希望するかによって選択肢も変わってきますが、

ホワイトニングを受ける前に健診で歯の状態を確認できる
後述の禁忌も医師のチェックが入る

といった面で、歯科医院でのホワイトニングが安心だと言えます。

思ったより白くならない?気を付けるべきポイント

歯の状態によっては、ホワイトニングの効果が出にくい場合もあります。

以下によくある例をご紹介します。

フッ素コーティング済の歯

むし歯予防や歯の強化のためにフッ素塗布を受けられている場合、ホワイトニング剤の浸透が阻害され、ホワイトニングの効果が十分に得られない場合があります。

この場合は歯科医師と歯の状態を相談しながら、フットコーティングの効果が切れたタイミングでホワイトニングの施術を受けることで漂白効果が期待できます。

金属による着色

むし歯治療などで歯に金属製の詰め物をしている方も多いと思いますが、金属イオンにより周囲の歯が黒っぽくなる場合があります。

金属由来の着色はホワイトニングの効果が期待できないため、白くしたい場合は詰め物を樹脂に変えるか、歯の表面に専用のマニキュアを塗布する方法があります。

テトラサイクリン着色

歯の形成期(0歳〜12歳頃)にテトラサイクリン系の抗生物質を多く摂取すると、歯の変色を招くことがあります。

程度の進んだテトラサイクリン着色にはホワイトニングの効果は薄く、上述のマニキュアのほか、ラミネートべニアといった方法が候補に挙がります。

ホワイトニングを受けられないケース

妊娠中、授乳中

妊娠中、授乳中の女性はホワイトニングを受けないようにしてください。
理由としては、ホワイトニングで使用する過酸化水素、過酸化尿素が胎児に悪影響を及ぼす懸念があるためです。

無カタラーゼ症

過酸化水素を分解する酵素であるカタラーゼが生まれつき欠損している疾患のことです。

無カタラーゼ症の方は過酸化水素を体内で無毒化できないことから、口腔内の壊死などを引き起こす恐れがあり、ホワイトニングは禁忌となっています。

むし歯、歯周病がある

むし歯や歯周病がある場合、ホワイトニングができないわけではないのですが、
薬剤による知覚過敏や詰め物・被せ物への影響、
また、神経が死んでいる歯は異なるホワイトニングの手法を用いることなどから、
一般的にむし歯、歯周病の治療を終えてからホワイトニングを実施する流れとなります。

まとめ

本記事ではホワイトニングについて、種類や施術の内容、歯科医院とその他サロンとの違いなどについて解説しました。

脱マスク生活で口元、特に歯の黄ばみが気になるという方は、まずはお近くの歯科医院でホワイトニングについて相談してみてはいかがでしょうか。

歯周病ってどんな病気?歯周病治療って何をするの?

2023年7月24日

こんにちは。
大阪府吹田市江坂の「はやし歯科クリニック」です。

皆さんは歯周病をご存知ですか?

今回は歯周病について、また歯周病治療についてお話しします。

歯周病ってなに?

歯周病とは、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や歯を支えている骨などが溶けてしまう病気です。

細菌の感染によって引き起こされるものです。

歯と歯ぐきの境目の清掃が不十分だと、多くの細菌が停滞して歯ぐきが赤くなったり腫れたりして、さらに進行すると、膿が出てきたり、歯を支えている骨が溶けて歯がぐらぐらしてきます。

ほとんどの場合、痛みがなく歯周病が進行してしまうので、ご自身で気がつくのは難しいです。

30歳以上の成人の約80%が歯周病にかかっていると言われています。

歯周病菌とプラーク(歯垢)

お口の中には、およそ400~700種類もの細菌が住んでいて、細菌は普段悪いことはしませんが、歯磨きが不十分だったり、砂糖を多く摂り過ぎると、細菌がネバネバした物質を作り出し、歯に強力に付着して、そこでたくさんの細菌のかたまりが形成されます。

細菌のかたまりが増え、歯の表面の白い汚れとなったものが、プラーク(歯垢)というものです。

プラーク1㎎の中には約10億個の細菌が住みついていて、歯周病やむし歯を引き起こします。

歯周病を引き起こす細菌がプラークの中に多く存在し、プラークの中の細菌が原因で、歯ぐきに炎症を起こし、やがて歯を支えている骨を溶かしていくのです。

プラークは粘着性が強く、うがいをしただけでは落ちません。

歯の表面にプラークがついたままだと、唾液に含まれるカルシウムやリン酸などの成分が結合して石灰化し、歯石ができます。

歯石はブラッシングだけでは取り除くことができず、歯石の中や周囲に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けています。

歯周病が進行すると、歯がぐらぐらと動くようになり、最終的には抜歯しなければいけません。

歯周病のセルフチェック

歯周病を悪化させる原因はプラークだけではなく、喫煙や糖尿病などさまざまです。

歯周病菌が全身のさまざまな病気の発症リスクを高めることも、近年の研究から明らかになっています。

では、ご自身が歯周病かどうかチェックしてみましょう。

□ 起床時に口の中がねばねばする
□ 歯みがきで歯ぐきから出血する
□ 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった
□ 歯ぐきが赤く腫れている
□ 口臭が気になる
□ 歯がぐらぐらと動くような気がする

いくつ当てはまりましたか?
少しでも心配なことがありましたら、歯科医院を受診しましょう。

歯周病を治すにはどうしたらよいか?

まずは、ご自身のお口の中の状態を知るために、歯科医院で、お口の中の検査をしましょう。

レントゲン撮影

歯の内部や骨の状態を確認します。

口腔内写真の撮影

専用の一眼レフカメラやデジタルカメラを使用してお口の中の状態を撮影し、歯ぐきの状態や歯並び、かみ合わせの状態の確認が可能です。

歯周病の検査

歯周ポケットの深さ、歯ぐき(歯周ポケット)からの出血の有無、歯の動揺度、プラークの付着、歯石沈着の様子などを検査します。

以上の検査をして歯周病がどのくらい進行しているのかなど診断が可能です。

歯周基本治療

歯周病の進行の程度に関わらず、初めに行われるのが歯周基本治療です。

歯周病の原因であるプラーク、歯石の除去をおこないます。

歯科医師や歯科衛生士から正しい歯みがきの仕方の指導を受けて、ご自身で正しい歯みがきのテクニックを身につけましょう。

歯科医院でスケーリング、ルートプレーニングを行います。

歯の表面や歯ぐきでかくれている根の表面のプラークや歯石を専用の器具で取り除くことが可能です。

また、歯周病が進行してしまうと歯がぐらぐらして嚙みにくくなったり、負担が増すので、かみ合わせの調整をします。

これまでの歯周基本治療により歯ぐきの状態が改善され、ある程度安定した状態が得られるでしょう。

再度、精密な検査を行い、状態がよければメンテナンスに移行が可能です。

歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットが残っていると、歯周病の再発の危険があります。

そこで歯槽骨の形態をよくしたり、歯周ポケットの深さを減少させる歯周外科手術をおこなうこともあるので、歯科医師とよく相談しましょう。

健康保険の対象外ですが、症例により歯槽骨や歯ぐきを増やす歯周組織再生療法をおこなうことも可能です。

その後、精密検査を行い、治療効果を確認します。

サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)

検査の結果、病状が安定したと診断された場合にSPTをおこないます。

SPTとは、サポーティブペリオドンタルセラピーの略で、治療によって安定した状態になった歯周病に対して、歯周組織を維持するため継続的におこなっていく治療です。

長期継続的にSPTをおこなうことで良好な状態を維持することができます。

SPTの目的

・歯周病の再発を防止すること
・歯周病の進行を最小限に食い止めること
・歯の喪失を予防・減少させるためにおこなう

など

病状安定期の患者さんには、定期的なプロフェッショナルケアが基本となりますが、患者さんが毎日おこなう歯みがきによるセルフケアも重要です。

セルフケアのポイント

以下にセルフケアのポイントを紹介します。

①歯ブラシの毛先を磨くポイントに確実に当てましょう

鏡で歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯に毛先が届いていることを確認してください。

②ちから加減を軽くしましょう

ちからを入れすぎると歯ブラシの毛先が開いてしまい、細かい部分のプラークを落とせま せん。ちから加減が強いと歯や歯ぐきを痛めてしまいます。

③細かく動かしましょう

歯並びに凹凸があるので、歯ブラシを大きく動かすと毛先がうまく届かなくなります。

④一か所につき10〜20回くらいみがきましょう

プラークは粘着性があるため数回では落としきれません。
特に寝る前に丁寧に磨きましょう。

お口の中は一人ひとり異なりますので、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士からポイントを教えてもらいましょう。

メンテナンスは、病状が安定した歯周組織が維持できているかを確認する、状態のチェックや健康管理です。

病状が悪化していれば再治療をおこないます。

歯周病治療の流れ

歯周病治療の流れは以下のようになります。

1.検査・診断と治療計画の立案

2.歯周基本治療

3.再評価と治療計画の修正

4.歯周外科治療(歯周基本治療で改善されない場合)

5.再評価

6.SPT(歯周病安定期治療)

7.治癒

8.メンテナンス

歯周病治療を進めていくうえで、患者さんの協力がとても重要です。

わからないことがあれば、いつでも相談してください。

歯周病になりやすい人の特徴

歯周病になってしまうのには、さまざまな要因があります。

直接的な原因は一つだけではなく、いくつかの要因が重なったときに、歯周病のリスクが高くなります。

①歯みがきが不十分な人

歯みがきをする時間や回数が少ない人、歯みがきのテクニックが上手ではない人はプラー クが溜まり、お口の中の細菌が増殖して歯周病のリスクが高まります。

②喫煙習慣がある人

たばこに含まれるニコチンなどの有害物資によって、歯ぐきの血行が悪くなり、歯ぐきに 酸素や栄養が十分にいきわたりません。

免疫機能や傷を治す機能の低下を招くため、歯周病になりやすく、さまざまな病気の進行 速度も速くなると言われています。

③歯並びが悪い人

歯並びが悪いと歯みがきがしにくいため、プラークが残ってしまい、歯周病のリスクが高 まります。

④ストレスがある人

免疫力が下がり、唾液の分泌量も下がると、口の中の自浄作用が悪くなります。
食いしばりや歯ぎしりで、歯を支える歯周組織がダメージを受けて歯周病を悪化させま  す。

⑤女性の人

歯周病の原因菌の中に、女性ホルモンをエネルギーにするものがあるため、妊娠時など女 性ホルモンの分 泌が活発になるときは、歯周病になるリスクが高くなります。

⑥糖尿病の人

抵抗力や組織の修復力の低下が生じ、歯周病が重症化しやすくなります。
高血糖になると、唾液の分泌量が減り、歯周病菌が繁殖しやすくなり、リスクが高まりま す。

歯周病になりやすいということは、口の中の環境(細菌の種類や唾液の質量)や、遺伝的なこともあります。

ただし、多くの場合は食生活や生活習慣が大きく影響しているので、見直すことが大切です。

歯周病は、進行すると歯を失うだけでなく、動脈硬化やアルツハイマーなどの全身疾患に関係があることがわかってきています。

健康のためにも歯周病をしっかり管理していくことが重要です。